新型コロナウイルス騒動の余波で、感染症と一見関係ない商品、中でもトイレットペーパーの買い占めが世間を騒がせている。Twitter上での「次はトイレットペーパーとティッシュペーパーが品薄に」「製造元が中国だから」などといった、2月末頃に出た無根拠なデマツイートがその一端とされている。
ただ、買い占め騒動は「SNSや口コミのデマ」だけが原因ではないようだ。例えば、買いだめを行った人へのアンケート調査では、大半が「デマだと分かっていて買い占めに走った」という結果が出ている。
マスクと違って新型コロナの対策になると思えないトイレットペーパーの買い占めが、それでも発生するのはなぜか。デマだけでなく、そもそもこの問題を伝えるメディアの報道が果たした「効果」について、独自データ分析や専門家の解説で迫った。
まず、Web上でどんなテーマの記事がどの程度の量流れているかの分析サービスなどを手掛けるベンチャー、トドオナダ(東京・港)に測定してもらったところ、トイレットペーパー関連の記事にはある種の「流れ」があることが分かった。
分析は同社のネット記事分析サービス「Qlipper」で実施した。テレビ・新聞・週刊誌系Webメディアや、Yahoo!ニュースに転載されるレベルで、ある程度知名度のあるネットメディアなど約400媒体が対象。文中に特定のキーワードを含むネット記事の数の推移を算出した。
1月下旬ごろから、買い占め関連のキーワードである「マスク」「品薄」を含む記事は数百件前後の規模で増減を繰り返しているものの、「トイレットペーパー」については1日当たり0〜数十件程度でまだかなり少なめだった。
「トイレットペーパー」を含む記事量が「マスク」「品薄」並みに急増したのは2月28日で、175件と前日の9倍近くに。これは、Twitter上で注目された「トイレットペーパーが品薄になる」という趣旨のあるデマツイートが流れた翌日に当たる。3月4日には475件とピークを迎え、最近はやや落ち着きつつある。
分析したトドオナダの松本泰行社長によると、2月28日以降の記事は「デマが流れてトイレットペーパーの買い占めが起きている」といった内容が主流という。
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