プライベートブランドの帝王「コストコ」が、成功している本当の理由背景に「雑誌」(2/4 ページ)

» 2020年03月30日 08時00分 公開
[藤井薫ITmedia]

コストコのビジネスモデル

コストコの会員誌「Costco Connection」(出典:コストコ)

 そこまでするのには、コストコが会員制倉庫型卸販売という特殊なビジネススタイルを取っていることが関係している。まず、コストコで買い物をするには、ゴールドメンバーといわれる個人会員か法人会員のビジネスメンバーになる必要があり、米国では年会費がそれぞれ60ドル必要になる。

 さらに、エグゼクティブメンバーという上級会員も用意されており、年会費は2倍の120ドルにもなる。エグゼクティブメンバーには、さまざまな特典が用意されているのだが、サービスのひとつとして「Costco Connection」が郵送されている。

 ちなみに、米国ではコストコの全会員に対して、エグゼクティブメンバーが占める割合は40%ほどだという。高額な年会費を払っているからこそ、エグゼクティブメンバーは他の会員より店舗に訪れる回数も多く、1回当たりの購入金額も高めだという。

 このようなエグゼクティブメンバーに届けられている「Costco Connection」は、コストコにとって非常に価値が高いマーケティングツールになっている。というのも、雑誌の反響がすぐに分かり、店舗での売り上げにつながっているからだ。

 会員の多くが「Costco Connection」で取り上げられた商品を見て購入するため、紹介された商品によっては、売り上げが30%ほどアップするという。

 さらに、コストコの店舗は巨大なため、実際に訪れてみると何を買うべきか迷う客も少なくない。新商品を見逃してしまうケースもあるだろう。いつも購入する定番商品のほかに、新商品や何か気になる商品を事前にチェックできる雑誌はありがたい。気軽にページをめくりながら、新しい商品を探すのもコストコでのショッピングの醍醐味なのかもしれない。

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