コストコの顧客が一番求めている、「物を買いたい」という購買意欲を掻(か)き立てる上で、コストコの月刊誌はビジネスに重要な役割を果たしている。雑誌の発行部数が伸びているところを見ると、多くの会員に支持されているのは間違いない。
とはいえ、コストコと同様の成功を手に入れるのは、そう簡単ではないのも事実だ。顧客とのコミュニケーションの一環として、コストコと同じように雑誌を発行してきた企業はあるのだが、大半が印刷物での配布を断念し、インターネットへと移行している。
近年の傾向として、ポッドキャストと呼ばれるインターネットでの映像配信がトレンドになりつつある。新商品の紹介や企業理念など、さまざまなコンテンツが配信されているが、どれほど効果があるのかは懐疑的だ。
インターネットで映像配信をすることは、比較的導入しやすく簡単にできると錯覚しがちだ。だが、実際には思った以上に労力が必要だ。さらに、登録されているポッドキャストの数は莫大で、他の情報で埋もれがちになっている。
そのような他社の動向を横目に、コストコはあえて印刷した雑誌を発行することに、こだわっていくようだ。1冊の雑誌を作るのには、もちろん時間も手間もかかるし、多くの人員が必要となる。その手間を惜しまず継続することで、他社がまねしにくい、顧客を満足させるサービスとなっている。それこそがコストコの強みでもある。
ターゲットを明確にして、彼らのニーズに答えることで、ビジネスが回っていく――。出版不況と言われ、多くの雑誌が衰退しているが、コストコの例は出版社にとっても何かヒントになるかもしれない。
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