プロ野球・横浜DeNAベイスターズの初代球団社長で、スポーツによる地域活性化などに取り組む一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長、バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)埼玉ブロンコスのオーナーを務める池田純氏が、スポーツビジネスの裏側に迫る連載「Bizスポーツ」。第3回は「新型コロナウイルスとスポーツビジネス」をテーマに、そこから見えてくるスポーツ界の本質を探る。
新型コロナウイルスの感染拡大により、ついに東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が決まりました。ここまで「2020年」を目指してきたスポーツ界の盛り上がりが、一気にしぼんでしまいかねない状況です。今、スポーツ、そして興行の世界はかつてない困難に直面しているといえるでしょう。
男子バスケットボール「Bリーグ」の3部(B3)に属する埼玉ブロンコスの株式を取得し、オーナーに就任した私にとっても、対岸の火事ではありません。政府は早くスポーツや興行の世界、五輪の延期によって資金繰りが悪化する企業に対して、セーフティーネットとなる制度を細かく発表し、説明してもらいたい、というのが切なる思いです。スポーツ、興行は今や第3次産業の範ちゅうを超え、背負っているものが大きくなっていることを忘れてはいけません。
一方で、今回の事態で浮き彫りになることもあります。それは、各競技や組織が「どこを向いているのか」「誰のためにあるのか」ということです。例えば大相撲。無観客で行われた春場所の中継をNHKで見ましたが、ある種異様な光景といえるものであったと同時に、興行の世界とは出自を異にする“神技”としての一面を感じられたのは、それはそれで驚きであり、学びでもありました。対照的に、プロ野球やJリーグは開幕、リーグ再開において、まず「無観客」ではなく「延期」という選択をしました。
私が11年12月に横浜DeNAベイスターズの球団社長に就いた際、最初に野球界に長くいた人から言われた印象的な言葉があります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング