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» 2020年04月08日 08時06分 公開

なぜ日本はコロナ検査に消極的なのか(3/4 ページ)

[日沖博道,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

 今や感染症対応の病院ベッドがまもなく満床にならんとしている東京周辺ではこの認識は大いに変化しつつあり、軽症や未発症だったら病院ではなく自宅か借り上げた宿泊施設で様子を見てもらえばいいじゃないか、という話になっている。

 でも感染が急拡大する前の段階では厚労省にも感染対策専門家にもそうした発想があまりなく(つまり「入院させないといけない」という思い込みが強く)、検査体制だけ拡張することに厚労省は否定的だったと考えられる。

 その姿勢を後押ししたのが、PCR検査の信頼性に疑問符が付くことではないか。つまり、陽性なのに陰性と誤判定される、その逆に本当は陰性なのに陽性と誤判定される、のいずれもそれなりにあるということだ(本当はどんな検査機にもつきまとう必然的な問題だが)。実質的な正解の確率は7〜8割という説もある。ましてや簡易検査キットだと、さらに誤判定率が高まる。

 この精度で、感染疑いがある人に気軽に検査を許してしまうと、2通りの「間違い」による好ましくない事態がそれぞれ引き起こされ得る。

 1番目は、本当は陰性なのに陽性と誤判定される「偽感染者」が続出して、ただでさえ逼迫しかねない入院ベッドをさらにふさいでしまうという問題だ。一旦入院させてしまうと、二度の検査で連続して「陰性」とならないと退院させられないと思い込んでいた厚労省および多くの医療関係者に、「これは医療崩壊への近道だ」と危惧させた可能性は十分ある。

 2番目は逆に、本当は陽性なのに陰性と誤判定された人たち(つまり真の感染者)が安心して気軽に出歩き、他の人たちに片っ端から感染させかねないという問題だ。これはこれで現実的にありそうな恐怖のリスクだ。

 どちらの誤判定のケースでも大いに問題だ。それだったらいっそのこと検査を簡単には受けさせずに、軽い自覚症状の人たちには2週間ほど自宅待機して様子を見てもらう、それで自然回復すればめっけもので、もしその間に症状が重くなったら面倒ながらも正式なルートで検査を受けてもらって入院してもらうほうがいいじゃないか、となったのではないか。

 要は、「現実的に検査体制が貧弱で大きなボトルネックを抱えており」、「検査をしたからといって治療法もないのだから、入院ベッドをふさぐ軽症・無症状患者が急増してしまう恐れが高く」、「検査してもその判定の信頼性が高くないのだから余計な問題を増やすだけ」。「だからいっそのこと全面的な検査はしないで、確実に感染が疑われる人だけ検査をすればよい」という結論になったのではないだろうか。

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