国や自治体に望むことを聞いてみると、Aさんはこう話した。「小池(百合子)都知事は休業要請に応えた事業者に(感染拡大防止)協力金を払うことを検討しているそうですが、リスクを背負って店を開けているコンビニには何もない。こういう事態なので店を開け続けたいとは思うのですが、何の支援もないと、私たちって何なのかなと感じてしまいます」。
コンビニ加盟店ユニオンの酒井さんも、「政府は中小企業向けの貸し付けを案内していますが、コンビニはもともと借金(いわゆるオープンアカウント)を抱えているので、怖くてこれ以上借り入れできません。何とか給付型支援を英断してほしい」と語る。
4月5日、高知県内のファミリーマートで店長と従業員2人の感染が分かった。店長は15日連続で勤務していた。感染とは直接関係ないかもしれないが、過労でなかったか気にかかる。
協力工場や物流も感染リスクから無縁ではない。大手コンビニ関係者は「協力工場が感染で止まることもありえます。近隣の協力工場から品物を回すにしても、東日本大震災の時のように一部商品の欠品は避けられないでしょう」と心配する。
コンビニが店を開け棚にたくさんの商品が並ぶ。そんな「当たり前」は、加盟店オーナーやアルバイト、サプライチェーンのぎりぎりの努力で維持されている。
北健一(きた けんいち)
ジャーナリスト。1965年広島県生まれ。経済、労働、社会問題などを取材し、JAL「骨折フライト」、郵便局の「お立ち台」など、企業と働き手との接点で起きる事件を週刊誌、専門紙などでレポート。著書に『電通事件 なぜ死ぬまで働かなければならないか』(旬報社)、『その印鑑、押してはいけない!』(朝日新聞社)ほか、共著に『委託・請負で働く人のトラブル対処法』(東洋経済新報社)ほか。ルポ「海の学校」で第13回週刊金曜日ルポ大賞優秀賞を受賞。
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