筆者がこのキャンペーンについて知るきっかけとなったのは、最近出版されたばかりの新書『トラックドライバーにも言わせて』(橋本愛喜著、新潮社)だった。もともとこの本を手に取ったきっかけは、オンラインショッピングなどの増加による、日本や海外の流通業界の人手不足問題について調べている際に、女性ドライバーを増やす試みをしているという海外の記事をいくつも目にしたことだった。
例えば、南アフリカではトラックドライバー不足を解消するために、18年から女性たちにドライビングの講習会などを開催してドライバーを確保しようとしている。しかも女性ドライバーの進出を推進しているトラックメーカーのボルボやコカコーラなどにも働きかけ、一緒に手を組んで活動している。
また、同じくドライバー不足が問題になっている米国では、トラックドライバー全体のうち女性が占める割合は7%ほどだ。そして、テキサス州では、女性ドライバーを増やすべく、地元のコミュニティー・カレッジ(地域の短期学校)でドライバー養成講座を開いており、受講する女性が増加。全米を旅できるし、給料も悪くないし、基本的に一人でリラックスしながら働けるということで、ドライバーになりたい女性が増えているという。
リサーチをしながらこうした話に触れているなかでこの新書を発見し、早速手に取ってみたというわけだ。
実際にトラックドライバーをしていた女性ライターがまとめている本だけに、内容も新鮮だった。紹介文には、「強引な幅寄せ、ノロノロ運転と急ブレーキ、堂々と路駐……公道上でとかく悪者にされるトラック。そのドライバーも、『態度がでかい』と批判されがちだが、内情を知れば、複雑な事情が見えてくる。『彼らは底辺職なのか』『休憩中エンジンを切らない理由』『プロの眠気対策』等々、これまで語られてこなかった本音を元トラックドライバーの女性ライターが徹底解説。読後、街中でトラックをみる目が一変すること必至!」とある。
車をあまり運転しない人でも、路上でいい意味でも悪い意味でも存在感を見せるトラック運転手たちの生態や勤務事情などを知ることができる内容であるし、意外な視点も提供している。例えば、日本では少し前にあおり運転が社会問題になったが、著者の橋本氏によれば、あおり運転は「高級車に乗った凡人がする」行為だという。あおられる側にも特徴があるようで、運転が得意ではない「運転弱者」や、軽自動車が狙われるらしい。
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