シュミットは、米中はこの分野で激しい競合関係にあり、「AIがその争いの核となるだろう。私たちの安全保障と経済が今、危機的状態に瀕している」と、絶対に負けてはいけない戦いだと考えている。また、「私はGoogleを経営していたから分かるが、シリコンバレーは中国に屈する可能性がある」と語っている。
さらに、「AIはバイオテクノロジーから銀行まで、全てで新境地を開くだろう。そして米国の国防省にとっても優先すべきものだ(安全保障の問題でもある)。もしこのままいけば、R&D(研究開発)における中国の全投資額が、今後10年で米国の投資額を超えることになると見られている。その頃には中国経済は米国経済よりも大きくなっているとも予測されている」と警鐘を鳴らす。そしてこう続ける。
「この流れが変わらない限り、2030年代には、私たちは、経済規模が大きく、自分たちよりも研究開発費も多く、質の高い研究をし、新しいテクノロジーや強力なコンピューティングインフラを幅広く導入する国と競争することになる。中国は世界をリードする先駆者となるために競っているが、米国は勝利するために動いていないのが現状だ」
実は、Googleはすでにスマートシティ構想に乗り出しており、そのポテンシャルをシュミットは把握している。カナダのトロント市が実験的に始めていたスマートシティ構想の取り組みに、2年にわたって深く参加していたのだ。だが、監視やプライバシーの問題などで批判が止まず、結局、5月に入ってこのプロジェクトは中止に追い込まれている。シュミットの嘆きが聞こえてきそうである。
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