中国の全国人民代表大会(全人代)は5月28日、香港で国家安全法を制定する方針を決定した。
現時点では、どういう行為が禁止とされるのか明確になっていないが、これから詳細が策定され、9月までに成立することになるという。これにより、中国政府が香港の立法会(議会)を無視して、表現・言論の自由や反体制活動、国外勢力による活動などを制限できるようになる可能性があるとして、大きな物議を醸している。
そもそも1997年に香港が英国から中国に返還されてから、「一国二制度」によって、香港にはその後50年間「高度な自治」が約束されていた。香港国家安全法が制定されれば、その約束が破られることになると、英国など欧米側は反発している。
香港の情勢は東アジアでビジネスをするような日本の企業やビジネスパーソンにも大変な関心事だ。日本と香港は良好な経済関係にあるからだ。
そして今回の騒動には、この連載でも何度か取り上げているジャッキー・チェンがまたまた登場するなど、香港情勢にはあまりなじみのない人々の注目度も高まりつつある。ただ今回のケースは、中国が強権的に香港を押さえつけようとしているという単純な話ではない。いくつかの要因が絡み合っており、ジャッキーのように、反中の香港人たちの言い分に「待った」をかける人も少なくない。そこで一体何が起きているのかを整理したい。
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