フィンテックで変わる財務
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» 2020年06月24日 11時39分 公開

公取も動いた銀行APIの今後 神田潤一氏に聞く (1/2)

いったんの節目を迎えた銀行オープンAPI。しかし4月に公正取引委員会は「取引上の地位が優越する銀行が、契約の見直しを行い、電子決済等代行事業者に正常な商慣行に照らして不当に不利益を与える場合には、独占禁止法上問題となるおそれ」というレポートを発表した。銀行APIの今後はどうなるのか?

[斎藤健二,ITmedia]

 銀行の基幹システムにインターネットを介して接続できる銀行オープンAPI。金融庁が旗を振り、3年がかりで進めてきた施策だ。国内130行ほどの銀行のうち、「2020年6月までに80行程度以上の導入を目指す」という目標を掲げて推進されてきた。

 導入の期限が過ぎ、いったんの節目を迎えたが、4月21日に公正取引委員会は「フィンテックを活用した金融サービスの向上に向けた競争政策上の課題について」というレポートを発表した。銀行APIについて、次のような厳しい内容となっている。

「取引上の地位が優越する銀行が、契約の見直しを行い、電子決済等代行事業者に正常な商慣行に照らして不当に不利益を与える場合には、独占禁止法上問題となるおそれ」

「預金口座等の情報へのアクセスが適切に確保されることが必要」

公正取引委員会のレポートより

 こうした状況の中、銀行API導入の当時の背景と今後の行方について、マネーフォワードの執行役員、神田潤一氏に聞いた。神田氏は2015年当時、日本銀行から金融庁に出向し、銀行向けのオープンAPI導入を進めた人物の一人だ。17年6月末に銀行APIの取り組みが実質的に始動したのち、9月にはマネーフォワードへ入社。マネーフォワードは、銀行APIを活用する事業者であり、神田氏はAPI導入の立場とAPI活用の立場の双方を体験してきたことになる。

日銀時代には金融庁に出向し銀行オープンAPIの導入に携わった、マネーフォワードの執行役員、神田潤一氏

スピードを重視した導入期の議論

 ――金融規制はグローバルなものであると共に、競争促進や消費者保護など、地域によって狙いが異なるものでもある。日本の金融のあり方について、どんなグランドデザインのもと、銀行オープンAPI導入は決まったのか?

神田氏(以下敬称略) 「当時、海外で新しい金融サービスが始まっていた。TransferWiseのように海外送金手数料を安くしていくサービスや、アリペイ、ウイーチャットペイなど、ノンバンクの活動が大きな動きになってきた。これらはいずれ、国境を超えて日本に入ってくるだろう。日本が取り残されてしまう危機感があった」

 「例えばスマホで、iPhoneがあっという間に日本を席巻したように、安泰だと考えていても、早い流れの中で、技術的な変化によってユーザーがなだれをうって移行するかもしれない」

 ――金融庁は数値目標を設定するなど、導入に強いコミットメントがあった。

神田 「(実質的に)義務化しなければ導入は20〜30行くらいの銀行ということに落ち着いたのではないか。それでは多くのユーザーが恩恵を受ける流れにならないし、多くの金融機関が自分ごととして取り組むことにならない。さらに、オープンAPIにまったく取り組まない都道府県が出てきてしまってもいいのか。少し強めの数値目標を置くことで、多くの銀行が自分ごととして取り組んで、多くのユーザーにAPIの恩恵がもたらされることを目指した」

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