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» 2020年07月07日 09時47分 公開

「いきなり!ステーキ」一本足打法経営が、なんともビミョーに感じるワケスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

[窪田順生,ITmedia]
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不可能なことでも「がんばればできる」

 筆者はこの12年あまり、報道対策アドバイザーをしてきた関係で、ピンチに陥った経営者の方とお話をさせていただく機会がよくあった。そこで気付いたのは、平時にはデータを重視して、客観的かつ冷静に経営をしているような方であっても、不測の事態や、想定外のピンチに陥ると途端に「精神論」に傾倒する人がちょいちょいいることだ。

似たような店が出てきたので、新鮮さが失われてきた? (出典:ゲッティイメージズ)

 冷静になって考えてみれば不可能なことでも「がんばればできる」とか、社員の心も離れてボロボロなのに「こんな時だからこそ一致団結だ」などとさらに士気が下がるようなことを口走ってしまう。経営者として判断すべきことを先延ばしにして、苦しい局面を「社員のがんばり」で乗り切ろうとするのだ。

 似たような店がでてきたことで、価格的にも、肉の品質的にも明確に差別化ができなくなってしまった「いきなり!ステーキ」の復活も、「社員のがんばり」で達成させることは難しい。まず、必要なのは、今回手放してしまう「ペッパーランチ」のように、競合が真似できない独自のポジションを築くことだ。そういう環境整備をすることなく、働く人たちに「結果がでないのは、たるんでいるからだ」と叱責する会社を、世間では「ブラック企業」と呼ぶ。

 「いきなり!ステーキ」の一本足打法経営も、あまり精神論に傾くことなく、業態を根本から見直すことも含めた綿密なマーケティングに基づいた再建を期待したい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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