データも人材もファーウェイに流出? 倒産するまで盗み尽くされた大企業に見る、中国の“荒技”世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2020年07月09日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

グーグルからはソースコードも盗み出した

 中国政府はこうした戦略で、2010年ごろには、検索大手のグーグルや金融大手のモルガン・スタンレー、IT企業大手のシマンテックやアドビ、軍事大手のノースロップ・グラマンなど数多くの企業をサイバー攻撃していたことが判明している。この一連の攻撃は、サイバーセキュリティ専門家らの間では「オーロラ作戦」と呼ばれている。

 この事案で特筆すべきは、グーグルへの攻撃だ。中国政府は、グーグルが提供する無料電子メールのGmailにハッキングで侵入し、反体制派の中国人のアカウントを探して回っていたことが分かっている。また問題はそれだけでなく、検索エンジンのソースコードも盗まれたと、米軍の元幹部は筆者の取材に答えている。その技術は中国国内の企業に「流れているようだ」とも。

グーグルはGmailのハッキングやソースコード盗難といった被害を受けたとされる(写真提供:ゲッティイメージズ)

 またこの元幹部いわく、それ以外にも中国政府系ハッカーは、米軍に何年も侵入して兵器や戦闘機の設計図なども盗み出すことに成功しているという。

 民間企業から政府、軍事、インフラ、教育機関まで、とにかく中国政府は徹底して、サイバー攻撃でライバル国からさまざまな情報やデータを盗み出している。

 そしてノーテル社に起きたような攻撃は、日本にだって起き得る。あまりサイバー攻撃の被害情報が外に出てきにくい日本だけに、表面化していないケースもあると考えられる。そして新型コロナで日本社会や企業が弱っている今、これまで以上にこうした攻撃を受ける可能性はある。

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