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» 2020年07月28日 09時27分 公開

スピン経済の歩き方:古典的な手口で「30億円」! なぜコロワイドの会長はコロッと騙されたのか (1/5)

また、企業の経営者が詐欺にだまされてしまった――。外食チェーンを展開するコロワイドの蔵人金男会長である。詐欺の手口は「古典的」なものなのに、なぜだまされてしまったのか。その背景に迫ってみたところ……。

[窪田順生,ITmedia]

 外食大手コロワイドの蔵人金男会長が「M資金」詐欺で30億円をだまし取られたらしい。報道によれば、逮捕された男たちは「2800億円の『基幹産業育成資金』を提供できる人物を知っている」などと言って、交渉費や資金を保管する倉庫の金をだまし取ったという。

 この「基幹産業育成資金」は、以前から注意喚起がなされていた。2018年2月22日に財務省がWebサイトに名指しで注意するように呼びかけていたのだ。

 『「基幹産業育成資金」と称した資金提供を財務省から受けられる、という不審な勧誘等があったとの情報提供がありました。 上記のような勧誘等を受けた場合は、安易に信用することなく財務省の担当部署を確認するなど、詐欺等の被害に遭わないようご注意ください』

「基幹産業育成資金」について注意喚起(出典:財務省)

 これを聞いて、一代でコロワイドという大企業を築いた経営者が、なぜこんな古典的な詐欺にコロッとだまされてしまったのかと不思議に思う人も多いだろうが、筆者はちょっと逆の考え方で「古典的」だからこそ、コロワイド会長のような方でもカモにされてしまうのではないかと思っている。

 「古典」というのは流行り廃りに関係ないので、その社会が抱える問題、あるいはそこで生きる人間の本質を鋭くえぐっている。実はこれは詐欺にも当てはまる。分かりやすいのが、オレオレ詐欺に代表される高齢者を狙った振り込め詐欺だ。

 「今時あんなもんにひっかかるヤツいるの?」と世間が感じるような超ベタベタ、手垢のついた古典的詐欺で、警察やマスコミがこれでもかと注意喚起をしているが、令和になってもまったく絶滅しない。なぜかというと、この詐欺が日本社会の「弱点」を見事についているからだ。それは一言で言えば、子どもがいい歳になっても、親から経済的にも精神的にも自立できない「弱点」だ。

 独立行政法人 国立女性教育会館の「家庭教育に関する国際比較調査」によれば、日本の親は、韓国、タイ、米国、フランス、スウェーデンの親と比較すると、自分の子どもが15歳になっても料理やバイトができないと考えている割合がかなり多い。一方、子ども側も経済的に自立ができないので、何かあればすぐに親や祖父母の財布を頼りにしてしまう。このズブズブの日本的親子関係が続く限り、振り込め詐欺のカモはいくらでもいるというわけだ。

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