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交通系に乗り出すVisaのタッチ決済 Suicaへの優位性は?

» 2020年08月01日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 タッチ決済を積極的に推進するVisaが、公共交通機関の決済にも乗り出した。7月29日に、茨城交通が運行する勝田・東海−東京線の高速バスで、タッチ決済の取り扱いを開始した。PayPayやアリペイ、LINE Pay、楽天ペイなどのQRコード決済と併せて、導入が決まった形だ。

茨城交通の交通バスに導入されたVisaのタッチ決済

 「交通系への対応が、当たり前の決済方法になる1つのきっかけになる」と、今田和成氏(ビザ・ワールドワイド・ジャパン デジタル・ソリューション&ディプロイメントディレクター)は交通系の重要さについて話す。

海外では対面決済の3件に1件がタッチ決済

 Visaによると、海外では対面決済の3件に1件がすでにタッチ決済だ。中でも公共交通機関への採用は、メインの決済手段となる上での登竜門だ。海外では、国際観光都市を中心に、200以上の都市が公共交通機関でタッチ決済を導入済み。現在約500のプロジェクトが進行中だという。

国際観光都市を中心に公共交通機関でのタッチ決済導入が進んでいる(Visa資料より)

 2012年のロンドンオリンピックを契機に、地下鉄とバスで導入したロンドンでは、18年6月時点で乗車の半分以上がタッチ決済になったという。もともとVisaは、日本でのタッチ決済の導入を、東京オリンピックに向けて準備してきた。世界共通で利用できる規格のため、外国人が観光で訪れる国際観光都市では便利だからだ。

Suicaに対する優位性は?

 もっとも国内ではJR東日本のSuicaと、それに互換性を持つ各社の規格が交通系の非接触決済手段として普及している。海外からやってくる旅行者はともかくとして、日本在住者にとって、Visaのタッチ決済が交通系に導入されるメリットはあるのだろうか?

 「Suicaが浸透しきれていない地域があるのも事実。そこを補う目的でVisaのタッチ決済を導入いただければ」とVisaは話す。

 導入コストについて詳細は話さなかったが、Suicaに比べても導入コストは抑えられる場合があるようだ。「地方の交通機関で、経営上難しいというところでも検討いただいている。優位性はある」(Visa)

 Visaのタッチ決済では、三井住友カードの決済プラットフォーム「Stera」を活用し、乗車前のゲートでカードが有効かの簡易チェックを行い、乗車中に正式な有効性チェック。そして、下車時に金額を確定させるという処理を行う。QRコード決済などと違い、下車時に金額を確定させるので、フレキシブルな料金体系での提供が可能だ。ロンドンでの例のように1日の上限金額を設定したり、周遊券なども実現できる。

交通機関での有効性確認、与信確認(オーソリ)、決済などの流れ(Visa資料より)

 Visaのタッチ決済に対応したカードは、3月末に2390万枚を発行した。1年前の700万枚から急増している。利用できる加盟店も急速に増加しており、7月にセブン-イレブンが全国導入したことで、コンビニの70%で利用可能になった。

 海外とは違い、いまだにApplePayに対応していないという課題はあるが、本気で普及させようというVisaの意気込みを感じる。

対応カードの発行枚数と加盟店を急速に増加させている(Visa資料より)

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