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» 2020年08月05日 20時00分 公開

ブロックチェーンを活かす法体系とは?ブロックチェーンは「デジタル公証役場」(5/5 ページ)

[福島良典,ITmedia]
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デジタルフレンドリーな法により、経済の粒度が小さくなり、SMBや個人をエンパワーする

 最後に、じゃあデジタル公証役場ができるとどんな可能性が広がるか? について論じてみようと思います。

 すでに世の中で出始めているように「金融アクセスの民主化」が起こると思います。現状の金融は一定のアセットサイズがないと金融サービスにアクセスしても意味がない、コストが合わないというものが多くあります。

 それ故に金融商品化されていないアセットが、低コスト、粒度が小さくなることで金融商品化可能になるものが多くあります。アートやワイン、スニーカーといったものも将来は金融商品として誰もがアクセスできるようになるかもしれません。

また現在は、株式や通貨などは転々流通しています。一方、それ以外の「約束」の転々流通はなかなか進んでいません。

 その中でも直近進捗しているのは、請求書の買い取り(ファクタリング)です。前述のように、請求書の信頼性があがるとファクタリングもしやすくなります。一説によるとかなり高いとされているファクタリング手数料も多くは請求詐欺や支払先がデフォルトするリスクなど信用コストを背負っています。そこのコストが劇的に下がり、資金調達に柔軟性が生まれる可能性があります。

 また現在は契約書を買い取るみたいな概念はありませんが、契約書の信頼性も上がると、POファイナンスならぬ、POファクタリングみたいなものも登場するかもしれません(※PO=発注書)。

 未だ紙で管理されている貿易ファイナンス、いままでデータが見えないことで資金繰りに苦しんでいたサプライヤーによるサプライチェーンファイナンスなども活発化するでしょう。

 このようにデジタル技術がより低コストで、粒度の小さい手段を提供する時、利益を得るのはより小さな個人やSMBです。

 インターネットの歴史でも TV・新聞 → ポータル → 検索エンジン → SNSとより個人がエンパワーされる方に進化しました。これが「デジタル約束」の世界でも進むでしょう。

 一方インターネットと「デジタル約束」の違いは、法体系にあります。

 情報発信や情報の選択はインターネット以前も特に規制がなく自由なものでした。一方「約束・価値」に関する法規制は「物理立ち会い」を原則としているものがまだ多く、せっかく技術でより安全・安価な仕組みを作っても最後は「物理立ち会い」が必要な法体系になってしまっています。

 これでは非常にもったいない。

 JBA(日本ブロックチェーン協会)ではブロックチェーンでの技術はもちろん「ブロックチェーンを国家戦略に」を合言葉のもと、より利便性の高い、社会効用の高い国にしていくために、デジタルフレンドリーな法体系を推進できるような活動もしていきたいと思っています。

筆者:福島 良典 LayerX代表取締役CEO

東京大学大学院工学系研究科卒。大学時代の専攻はコンピュータサイエンス、機械学習。 2012年大学院在学中に株式会社Gunosyを創業、代表取締役に就任し、創業よりおよそ2年半で東証マザーズに上場。後に東証一部に市場変更。 2018年にLayerXの代表取締役CEOに就任。 2012年度IPA未踏スーパークリエータ認定。2016年Forbes Asiaよりアジアを代表する「30歳未満」に選出。2017年言語処理学会で論文賞受賞(共著)。2019年6月、日本ブロックチェーン協会(JBA)理事に就任。

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