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「あつ森」効果で営業利益428%増! ソフトとハードを同時展開する任天堂のデジタルマーケティング戦略「巣ごもり需要」だけじゃない(1/3 ページ)

» 2020年08月19日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 お盆明けの8月17日、4〜6月期の国内総生産(GDP)の速報値が公開され、戦後最悪となる年率27.8%減という数字となった。

photo 任天堂の「あつまれ どうぶつの森(英語名:Animal Crossing: New Horizons)」はこれまで累計約2240万本を世界で販売している(写真提供:ロイター)

 まさに未曾有の不況が訪れようとしているが、そんな中かつてない好成績をあげている企業がある。大手ゲーム会社の任天堂だ。任天堂は8月6日、2020年4〜6月期(2020年度第1四半期)連結決算を公開した。今期の売上高は前年同期比108.1%増の約3581億円。特に営業利益においては、前年同期が約274億円に対し、今期は約1447億円という数字をたたき出し、前年同期比で約5倍ともなる、427.7%増という空前の結果を出している。

photo 売上高は前年同期比108.1%増の約3581億円。営業利益は前年同期が約274億円に対し、今期は約1447億円だった(以下、資料は任天堂の2021年3⽉期第1四半期 決算説明資料より)

 大きな要因の1つが、「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」の大ヒットだ。「あつ森」は3月20日に発売されたゲームで、これまで累計約2240万本を世界で販売している。国内の販売本数も大手ゲーム雑誌のファミ通によると、8月6日時点で約534万本に達し、歴代1位の「スーパーマリオブラザーズ」(ファミコン、1985年発売)の約681万本に届くのではないかといわれるほどの勢いだ。

 ゲームソフトのメガヒットに引きずられる形で、ハードである「ニンテンドースイッチ」(スイッチ)の売り上げも好調だ。任天堂決算によると、前年同期のスイッチの売り上げが約213万台に対し、今年は約568万台。166.6%増の結果を出している。コロナ禍の中で、新しくスイッチを買う人がいかに多かったのかが分かる。

photo スイッチの売り上げは前年同期の約213万台に対し、今年は約568万台。166.6%増の結果を出している

 コロナ禍によって新たに生じたこの需要は「巣ごもり需要」と呼ばれる。世界的な需要増大に加え、スイッチの生産拠点の多くが中国にあることから、2月以降、日本だけでなく海外も含めて供給不足に陥っていた。任天堂によると、「現在では一部で品薄状態が続いているものの、おおむね生産状況は回復した」という。

 新しくゲーム機を買うとなれば、買うソフトも1本だけではない。「あつ森」に限らず、この他のソフトの売り上げも好調だ。この20年4〜6月期で100万本以上売り上げたソフトの数は「あつ森」のほか8本あり、決算資料によると5月29日に発売された「ゼノブレイド ディフィニティブ エディション」が約132万本、6月5日に発売された「世界のアソビ大全51」は約103万本売り上げた。

photo 「ゼノブレイド ディフィニティブ エディション」が約132万本、6月5日に発売された「世界のアソビ大全51」は約103万本売り上げた
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