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「あつ森」効果で営業利益428%増! ソフトとハードを同時展開する任天堂のデジタルマーケティング戦略「巣ごもり需要」だけじゃない(3/3 ページ)

» 2020年08月19日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]
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過去最高益をあげる企業が続々

 だが、こうした好成績と、これからの好材料があるにもかかわらず、任天堂は2020年度の業績予想を据え置いている。この理由について、ゲーム事情に詳しいジャーナリストの河村鳴紘氏はこう解説する。

 「新型コロナウイルスの感染拡大は予断を許しませんし、どんな影響が出るかも予測しにくいのは確かです。そう考えると、手堅く見積もるのも理解はできます。昨年度もスイッチの出荷計画を1800万台から1950万台に上方修正した後は、動かしませんでした」

 河村氏によると、「ゲーム業界の1年先は闇」であって、浮き沈みの激しい業界であることは間違いない。とはいえ、業績予想では控えめな数値ではあるものの、2020年度全体を見ても、好調だった19年度と同程度の成績を残すのではないかと河村氏は話す。

 「例年では、一番苦戦する商戦期がこの4月から6月期なのです。にもかかわらず、ソフトの売り上げは一番売れる年末商戦期に匹敵しますし、スイッチも500万台以上売ってしまいました。今の流れが続けば、2年連続でスイッチの年間出荷は2000万台を達成するのではないかという印象です」

 ソフトにおいても時期未定だが、1860万本を出荷した「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の続編の発売が発表されている。年度内に発売することがあれば、2020年度決算ではハードだけでなく、ソフト面でも大きく伸ばすことになると考えられる。

 コロナによる「巣ごもり需要」もまだまだ続くとみられる。任天堂だけでなく、ソニーやスクウェア・エニックスなどゲーム業界全体として、好業績をあげている企業も少なくない。新型コロナウイルスによって、2020年度決算では任天堂に限らず、過去最高益をあげる企業が他にも出てくることになりそうだ。

photo 「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の続編の発売が発表されている
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