これって何の自販機? 設置の裏に沖縄文化への思い

» 2020年08月21日 08時55分 公開
[沖縄タイムス+プラス]
沖縄タイムス

 医療・介護分野のITシステム開発・販売のクレスト(嘉手納町、池原稔代表)はこのほど、しまくとぅばの継承と首里城再建の思いを込めて、琉球国王が詠んだ琉歌のミニ掛け軸を扱う自動販売機を設置した。

琉歌のミニ掛け軸の自動販売機の設置をPRするクレストの池原稔代表(左)、照屋志樹さん=14日、北谷町北谷「おおば」北谷店前

 収益金の一部を首里城再建のために寄付する。池原代表(70)は「首里城が焼失した時は喪失感が押し寄せた。首里城の再建も願い、沖縄のアイデンティティーのしまくとぅばを次世代に継承する思いで取り組んだ」と話した。

 同社は「しまくとぅばの消滅を防ぐためには日常的に目や耳で触れる機会や需要をつくることが大切」として、しまくとぅばの新たな需要創出を目指して県内各地で名護親方の「琉球いろは歌」のグッズや、琉歌が刻まれたお守りなどを扱う自販機の導入を進めている。

 琉球国王が詠んだ琉歌のミニ掛け軸は、しまくとぅばに関連する自販機としては4例目。今年3月以降、沖縄こどもの国など3カ所に設置している。

 自販機は「首里城・王家の伝言」として、首里城に居城した琉球国王を中心に一部、王妃らの琉歌も含めて国を治めるための国王の物事の価値観や考え方から、日々の営みを詠んだものなど40首が並ぶ。ミニ掛け軸に琉歌の解説書が付いて1個500円。

 池原代表は「沖縄文化の目に見えるシンボルは首里城。沖縄文化を内面的に支えているのはしまくとぅばで、これは消滅してしまったら再建はできない。しまくとぅばをなくしてはいけないとの思いを強く持っており、しまくとぅばの良さを再認識し、言葉に自信と誇りを持ってほしい」と思いを語った。

問い合わせはクレスト、電話098(957)1119。

Copyright © The Okinawa Times All rights reserved.