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» 2020年09月01日 08時00分 公開

伊藤忠のファミマTOB成立、王者セブンに勝つ術はあるか“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)

[加谷珪一,ITmedia]
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デジタル化による変革を

 現状が維持された場合、セブンに追い付くのは至難の業だが、唯一可能性があるとするとデジタル化によるビジネスモデルの変化だろう。

 伊藤忠は、フィンテック(金融とITの融合)を活用した、国内向けの新しい金融サービス事業を検討しているといわれる。近年、急速に普及が進んでいる決済アプリとの連動性を高め、コンビニの顧客をアプリで囲い込み、ここに各種サービスを提供する流れが構築できると、コンビニという業態は根本的に変化することになる。三菱商事も同様の方策を検討している可能性がある。

 業態の変化が生じる時は、シェアも大きく変わる可能性があるので、競合2社としては、このタイミングに賭けるというのがもっとも合理的だ。

 ちなみにセブンはグループ全体としては海外戦略を強化する方向性を明確にしている。セブンは米国第3位のコンビニ「スピードウェイ」を2.2兆円で買収することを決めた。セブン-イレブンはもともと米国のコンビニであり、米国のセブン-イレブンは日本と同様、トップシェアである。今回のスピードウェイ買収で、米国内でのシェアはさらに高まるだろう。

 米国は先進国としては珍しく、今後、数十年にわたって人口の増加が見込める成長市場である。一方、日本市場は今後、人口減少によって縮小が予想されており、国内コンビニ事業がジリ貧になるのはほぼ確実である。セブンとしては国内トップの座を維持しつつ、海外展開を強化することで企業としての成長を維持する戦略だ。

 これまでコンビニは突出した成長産業だったが、国内市場は完全に飽和しており、そうであるがゆえに商社との一体化や海外展開が進んでいる。今回の一連の出来事は、コンビニという事業が一つの区切りを迎えたことの象徴といってよいだろう。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「貧乏国ニッポン」(幻冬舎新書)、「億万長者への道は経済学に書いてある」(クロスメディア・パブリッシング)、「感じる経済学」(SBクリエイティブ)、「ポスト新産業革命」(CCCメディアハウス)などがある。


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