「家でペットと過ごす」需要が急拡大 コロナ禍で加速する“品薄”の背景：世界を読み解くニュース・サロン（2/3 ページ）

[山田敏弘，ITmedia]

コロナ禍でペットバブル　2日で100頭売った店も

　「コロナ禍で間違いなくペット需要が高まっています」

　そう話すのは、ある大手ペットショップ幹部だ。特に都市部では「バブルと言ってもいい」という状況だという。

　新型コロナの影響で外出が制限され、自宅などで過ごす時間が増えている中でペットが増えるのは想像通りだといえるが、実際にはどれほど増えているのだろうか。

　「都心のある大手ペットショップでは、通常なら犬や猫は月20頭ほど売れればいいほう。だけど6〜7月には2日で100頭も売ったときがあった」

　この幹部によれば、犬猫は「品薄」になっているという。安い猫などもかなり手に入りづらい。そもそも犬や猫は普通なら夏場には需要が下がるものなのだという。だが今年は、コロナの影響でその需要が全く落ちていない。また、例えば猫なら、夏場は冬に比べて頭数が多くなることで値段が下がるものだが、今年は値段も変わっていないらしい。「今、猫は犬以上に値段が高くなっている。高くても売れるからね」

普段は需要が縮小する夏でも、猫の値段は高くなっている

　犬の場合、今なら1匹40万円以上という価格がメインになっている。猫の場合は20万〜30万円ほど。それに飼い主は、ペットフードやさまざまな関連グッズも併せて購入するので、ペットを買うのは結構な金額を費やす必要がある。ペット関連の市場規模が1兆円を優に超えているのには、こうした背景がある。そしてその規模は新型コロナで大きくなる可能性もある。

　例えば特によく売れているのは、犬猫用のゲージやサークルだという。犬猫を購入する際に併せて買われる場合が多い。それ以外では、ペットフード。ペットショップ幹部によれば、特に今注目されているのは犬猫用のお菓子で、高い値段であってもすぐに売れるという。「特に猫は飽きやすいので、少し時間がたつと同じお菓子は食べなくなることがある。そんなことから高いお菓子でも飼い主はどんどん買っていく。今なら、無添加のフリーズドライのささみは、猫があまり飽きないと評判で、飛ぶように売れている」

　さらに面白いところでは、犬用の「目に効く」サプリも売れているという。「特に目が出ている犬種は目が悪くなりやすいといわれているので買い求める人が多い」

　これがコロナ禍の日本におけるペット業界の現状だという。