攻める総務

どうする?フリーアドレス 成功のための「5箇条」と、抵抗勢力の乗り越え方成功するフリーアドレス・失敗するフリーアドレス(4/5 ページ)

» 2020年09月09日 05時00分 公開
[高橋実ITmedia]

(1)顔が見えるコミュニケーションを重視するマネジャー

 筆者がフリーアドレスを推進していく担当者だったとき、社内で大きな抵抗勢力になったのが、マネジャーでした。固定席の座席は、「上司の席は誕生日席」とか「若手はベテランの席の隣に配置する」とか「連携が必要な部門を近くの席に配置する」など、「顔が見えるコミュニケーション」を想定して配置されることが多いと思います。これがフリーアドレスとなれば、マネジメントの在り方を変える必要が出てくることが、反対の理由だったと思います。

 これを解決するために、部下とのコミュニケーションがうまいマネジャーに相談し、まずそのマネジャーの部門を「お誕生日席がない」座席配置に変更しました。コミュニケーションが上手なマネジャーは、部下の席まで自ら足を運んで話をするなど、席に依存しないマネジメント手法をとっているケースが多く、フリーアドレスになっても柔軟に対応できるのです。

 このようなマネジャーに協力を仰ぎ、これまでの固定席の考えを少しずつ変えて成功事例を作り、段階的にフリーアドレスに移行していきました。そして、その成功事例をもとに、他の部門への展開を徐々に行っていき、社内に広めていくプロセスをとりました。成功事例が出てくれば、そのうち社内の雰囲気が変わり、反対していたマネジャーも少なくなっていくはずです。

(2)オフィスでの居場所を作りたがる社員

 社員は本能的に「オフィスでの居場所」を作りたがる傾向があります。フリーアドレス化を進めても、そのうち一定の社員は同じ席に座りはじめ、フリーアドレスなのに固定席のような状況になってしまうことがあります。筆者の企業では社員の多くが、出社するとオフィス用の靴に履き替えていました。そして、帰宅するときに座っていた席にその靴を置いて帰るのです。そして、いつの間にか席が私物化されてしまいました。中には、デスクに私物を置いて帰る社員もいました。

 これを解決するために「帰宅時のデスク清掃ルール」を作り、「下駄箱」を用意しました。また、フリーアドレスが定着するまでは「前日と同じ席に座らない」などのルールを作ることも効果的です。慣れてくるまでは同じ席に固定化しないための仕掛けづくりが必要でしょう。

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