前年同期比42.3%減! プレステ4がサッパリ売れないソニーの業績が“絶好調”な理由ダウンロード販売率が74%に(2/4 ページ)

» 2020年09月14日 18時57分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

好調の要因はサブスク型オンラインサービスにあり

 好調の要因は何か。1つには、新型コロナの影響により自宅で過ごす人が増えて「巣ごもり需要」が増大し、ゲームをはじめとするエンターテインメントへのニーズが上がっていることだ。もう1つは、PS5発売前の買い控えによってPS4の売り上げは落ちているにもかかわらず、その減収分を「プレイステーション プラス(PSプラス)」をはじめとするサブスクリプション型のオンラインサービスと、自社ソフトの売り上げが支えたためだ。

 オンラインサービスの面では、「PSプラス」の会員数をこの3カ月間で順調に伸ばしている。「PSプラス」は10年6月に開始したサービスで、月額税込み850円、年額だと税込み5143円で提供している。サービスに加入することで、ゲームをオンラインによって対戦・協力プレイに参加できるようになったり、ゲームのセーブデータをクラウドに保存したり、月数本のゲームが無料で遊べたり、体験版をプレイしたりできる。

 ほとんどのタイトルでオンラインで誰かとゲームをするには、このサービスへの加入が必須で、ウィズコロナの時代においては不可欠のサービスだといえるだろう。「PSプラス」の会員数は実に4500万人に達した。

 自社ソフトの売り上げ面では、6月19日に発売したサバイバルホラーゲーム「The Last of Us Part II」と、7月17日に発売し、1274年の元寇(文永の役)をテーマに描いたアドベンチャーゲーム「Ghost of Tsushima」の2作の販売が好調だ。「The Last of Us Part II」は発売後3日間で400万本、「Ghost of Tsushima」は発売後3日間で240万本を超える売り上げを世界で達成している。

 この2作を含めた4〜6月期の自社ゲームソフト出荷数は約1850万本で、昨年同期比で58.1%増えた。なお、年末商戦期にあたる、19年10〜12月期の出荷数は1630万本で、年間で一番売れる時期を超えているのも特徴だ。

photo 「PSプラス」の会員数は4〜6月期だけで世界で約340万人を増やし、約4500万人に到達した。サバイバルホラーゲーム「The Last of Us Part II」と、アドベンチャーゲーム「Ghost of Tsushima」の2作の販売が好調(以下、ソニーの決算資料より)

 ソニーを含めた全PS4ソフトの出荷数は9100万本を記録した。これは昨年同期比82.7%増にのぼり、19年10〜12月期の出荷数8330万本を超えている。さらに特筆すべきは、この9100万本の出荷数のうち、パッケージではなくダウンロードによって購入されたものが74%を占めている点だ。

 なお、前年同期のダウンロード割合は53%だった。「PSプラス」の会員数増と合わせて、「巣ごもり需要」でゲームの“オンライン化”が一気に進んだとみられる。

photo 特筆すべきは、ソフトウェア9100万本の出荷数のうち、パッケージではなくダウンロードによって購入されたものが74%を占めている点だ

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