ただ、そこに強引に入ってファーウェイのさらなる躍進を阻止しようとしてきたのが、米国である。15年に習近平・国家主席が「中国製造2025」をぶち上げ、中国を25年までに通信やAIで世界をリードするような国にすると宣言した。要するに世界の工場からの脱皮で、それまでテクノロジーで世界をリードしてきた米国に対する「宣戦布告」でもあった。これこそ、それまで中国を「手なずけられる」と考えていた米国が目を覚ますきっかけになった。
それから米国は、対中政策で敵対を始め、中国強硬派を擁するトランプ政権で一気に攻勢をかけた。中国政府が先端技術に多額の政府支援をして競争をゆがめようとしていると嫌悪感をあらわにしてきた。ちなみに中国はこうした米国の動きに対して、政府内でも「中国製造2025」についてあまり語らないように指示しているという。
そして米中の関係悪化が深まり、その中心では5Gが争いの種になった。
世界での5Gのシェア争いでは、既に述べた通り、トップのファーウェイ、次いでスウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアなどが続いている。ただエリクソンやノキアは、米政府によるファーウェイのブラックリスト入りといった「後押し」があっても、なかなかファーウェイを超えることはできない。特に問題なのは、政府支援をもとに高品質の機器を安価に提供している事情があると米政府は見る。
米政府は、5G機器などの価格を安価にできる背景には、中国政府の資金援助があると指摘している。事実、ファーウェイの研究開発費などはとてつもない額になっているが、そこにも政府の融資が含まれる。その額は、把握されているだけで750億〜1000億ドル(約8兆〜10兆円)規模になるという。
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