止まらない中国排除 米国の次のターゲット、鍵を握る「クラウド」企業世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2020年10月01日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 米中の対立がどんどん悪化するなか、米中のデカップリングが進んでいる。デカップリングとは、米国が経済などにおいて中国企業との関係を遮断していくことを指す。

 米政府はこれまで、米国防権限法などでファーウェイやZTEといった通信企業に始まり、中国製のデジタル機器やAI技術までを禁止にしてきた。さらに中国企業が依存する半導体分野へのアクセスも強行に制限し、TikTokなどソフトウェアにまで切り離し戦略は及んでいる。TikTokについては米企業まで乗り出して強引に中国とのつながりを排除しようとしている。米国はこうした戦略を同盟国にも協力するよう求めていることから、世界中が振り回される格好になっている。

 そうした混乱の中で、米国が次の中国排除作戦に向かっているとして注目されている。

米国がさらなる中国企業排除の計画を進めている(写真:ロイター)

 8月、ドナルド・トランプ大統領は、ファーウェイやTikTokなどに続いてさらに別の中国企業を排除するつもりなのか記者に問われ、「他も調べている、だからイエスだ」と答えている。この中国企業とは、中国大手IT企業のアリババやバイドゥのことを指している。というのも、この発言の少し前に、米政府が「クリーンネットワーク計画」という計画を打ち出して、アリババなどを排除する方向を示したからだ。

 このクリーンネットワーク計画はこれから大きな話題になりそうである。特に、この計画で米国が中心的に見据えているのは「クラウド」サービスだ。中国のクラウドサービスが米国側からの次のターゲットになるとの声が上がっており、そうなれば日本もまた振り回される可能性がある。

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