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» 2020年10月01日 07時00分 公開

止まらない中国排除 米国の次のターゲット、鍵を握る「クラウド」企業世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

[山田敏弘,ITmedia]
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鍵を握る「クラウド」依存と市場成長

 米政府関係者らによれば、この「クリーン」戦略の中でも、今最も注目されているのが「クラウド」だという。というのも今、米企業の間では、クラウドへの依存度が高まっており、今後もますます成長が見込まれているからだ。例えば、多くの企業がクラウドへの依存度を高めており、FacebookのようなSNSや、ベライゾンのような通信会社、さらにネットフリックスのようなオンライン動画サービスなどは、アマゾンのクラウドサービス(AWS)に依存している。現在では、クラウド分野は米GDPの1%規模、すなわち2100億ドル以上の規模になっている。2017年には200万人以上の雇用を生んでいる。また、安全保障の政府機関や保健・医療機関など重要分野でもクラウド化が進んでいる。

 米カーネギー国際平和基金の調査では、最大で6日間、主要なクラウドサービスが停止するような事態が起きれば、直ちに150億ドル規模の損失を生むと言われているほど、もはやなくてはならない存在になりつつある。

 そこには、中国企業も参入している。最大手はアリババだ。アリババは中国国内のクラウド市場で40%ほどのシェアを誇っており、2位以下であるファーウェイやテンセントを大きく離している。中国政府は、中国企業のクラウド化を推し進めており、この分野はどんどん成長している。デジタル化やIT化が進むにつれてますます必要とされる。

 世界的に見るとアリババのシェアは10%ほどだが、これから世界的な存在感も高まる可能性がある。だが一方で、アリババと中国政府の関係は強いため、米政府のターゲットとなって制限の対象になるだろう。ファーウェイのように目の敵にされるかもしれない。

 日本でもクラウドの依存度は高まっている。MM総研によれば、「19年度のクラウドサービスの市場規模は2兆3572億円で、前年度比21.4%増」という。アリババは中国に進出している日本の大手企業などにもクラウドサービスを提供している。

 さらに日本では「24年までの市場全体の年平均成長率(CAGR)は18.4%と高水準になる」という。

 今後は日本企業も、アリババなどのクラウドサービスについては、米国のクリーンネットワーク計画などの動向を注視しておく必要があるかもしれない。なぜなら、これからさらに中国系のクラウドに対する規制が強まる可能性があるからだ。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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