菅義偉政権が9月16日に発足した。菅首相がその手腕を見せるまでもなく、ネット上などでは「声の大きい」人たちによる批判的なコメントもあふれかえっている。だが、期待値は高いようで、ANNが行った世論調査では菅内閣の発足時の支持率は62.3%にも達している。ただ何もしていない中での高い支持率ほど気持ち悪いものはない。よっぽど文句が多い中で政権をスタートするほうが気が楽というものだろう。
そんな菅政権だが、スタートとともに目玉政策の一つとして注目されているのが、「デジタル庁」の新設である。デジタル庁は、行政サービスのデジタル化を一元的に行う組織で、2021年中に設置し、廃止時期もあらかじめ設定する時限組織になるという。平井卓也デジタル改革相がその指揮をとる。
NHKの番組に登場した平井大臣は、「コロナ禍は、世界でも有数の光ファイバー網や通信網を十分に使い切れず、『デジタル敗戦』だった。デジタル庁は、規制改革を断行する象徴で、新たな成長戦略の柱だ。全ての予算を要求段階からデジタル庁に集め、各府省と知恵を絞りながら、国民にとってベストなシステムをつくっていく」と述べた(参考:NHK)。
ただすでに、日進月歩のデジタル世界でスピード感が求められる中、21年中の設置と聞いて拍子抜けした人もいるだろう。しかもどうして時限組織なのかも明確な説明は伝わってこない。中途半端に感じるのは筆者だけではあるまい。
とはいえ、世界から技術大国で先端を行く国と見られている日本が、デジタル化を本格化させることは素晴らしい。どんどん進めてもらいたいものだが、日本がデジタル化の話をするとちょこちょこ耳にするのが、北欧の国であるエストニアの名前だ。事実、平井大臣も就任直後に出演したテレビ東京の番組「ワールドビジネスサテライト」でデジタル庁構想について聞かれ、エストニアではいろんなサービスがカードで受けられると発言していた。
確かにエストニアは「デジタル大国」として広く知られている。では現在、デジタル化の進んだエストニアでは何ができるのか。そして日本は参考にすべきなのか。
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