「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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コロナ禍でリモートワークが定着する中、オフィスの床面積を削減する企業も出始めた。働き方の自由度が高まるのは良いが、自宅が働く環境として必ずしも優れているわけではない。
そんな中、これまでフリーランスの利用が中心だったコワーキングオフィスにも、新しい風が吹き始めている。2018年4月に創業したいいオフィス(東京都台東区)は、満員電車に乗らず自宅近くで働けるコワーキングオフィスを全国に広げようとするスタートアップだ。
2万円(税別)の月額定額制で、どのコワーキングオフィスでも使い放題のサービスを提供している。9月時点で207のオフィスを全国に用意し、準備中のオフィスも合わせると269店舗に上る。時間無制限で、出入り自由、どのオフィスも利用可能だ。
19年9月時点のオフィス数はわずか30店舗。わずか1年で200を超える数に増加させられたのは、いいオフィスがフランチャイズ(FC)の仕組みを取っているからだ。
「既存のコワーキングオフィスの店舗にFCに参加してもらう形。いいオフィスの最初の株主は、これらフランチャイズに参加してもらったオーナーだ。みんな、家の近くにオフィスがある、新しい働き方を実現したいと思っていた」
同社社長の龍崎宏(崎は立つ崎)氏はこう話す。不動産事業の規模拡大には時間がかかる。コワーキングオフィスに向いたスペースを探して改装し、運営する従業員を雇って教育していくとなると、急拡大は難しい。また、不動産の敷金や改装費用など、膨大な資金が必要になる。
同社は直営店舗もわずかに持つが、基本的にはFC全店で使える決済などのシステムを提供するのがメインの事業だ。登録済みの会員は6400人おり、多数が全国使い放題のプランに加入している。各店舗にiPadを設置し、スマホアプリで決済できるシステムを用意した。この仕組みで、全国に200カ所を超えるコワーキングオフィスのネットワークを作り上げた。
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