コラム
» 2020年10月02日 17時00分 公開

アマゾン参入でも、クラウドゲームが「プレステのライバル」にならない理由本田雅一の時事想々(3/4 ページ)

[本田雅一,ITmedia]

 プレステの始まりは1994年だが、当時の目標はコンピュータで3Dの仮想世界を作り出してインタラクティブ性を持たせることで、仮想世界に入り込んでいける「没入(イマーシブ)型」のゲームコンテンツのプラットフォームを作ることだった。

 その後、コンピュータが創り出す仮想世界をネットワークで接続し、リアリティーや表現力を高めることで没入度は上がり続けているが、ゲーミングPCも含めた任天堂以外の多くのゲーム用コンピュータは、没入型ゲームの質を高めることが差別化要因となり、定期的な世代のアップデートが起きてきた。

 没入型ゲームにおけるテーマは一つ。参加者であるプレーヤーが、いかにゲーム世界に入り込んでいけるかだ。将来はVRのような技術、あるいは人間の感覚と直接接続して仮想現実にダイブするようなデバイスが使われるようになるかもしれない。

 しかしそうしたユーザーインタフェースの問題を除くと、没入型ゲームのテーマは常に“現実との区別がつかない領域”にゲームの仮想世界をいかにして近づけるかだ。そのために大量の計算能力や大容量のデータスループット、ストレージ、ネットワーク速度が必要とされる。

PS4以前と以降では、ゲーム機の位置付けは異なる

 『トータルリコール』というSF映画がある。仮想現実と現実の区別ができないほど、科学技術が進歩した世界では“夢”を現実のように体験できるツアーが購入できる。そんなトータルリコールの設定に近い世界は、決して近い未来ではないものの、夢ではなくなりつつあるのかもしれない。

 ただし、目標は同じではあるものの、PS4以前と以降では、その実現方法がやや異なっている。PS2、PS3の時代は「望むような仮想現実を作るために目標とすべき性能」に対し、ハードウェアの性能が圧倒的に劣っていた時代だ。一般的なコンピュータとは異なる作り方を意図して行うことで、没入型ゲーム機としての体験レベルを上げてきたのだ。

 しかしPS4では、もちろんゲーム機として求められる性能や機能を実現するために工夫はしているものの、コンピュータとしてのハードウェア構成はパソコンに近いものになった。

 それはPS4を高性能化したPS4 Proが生まれたことからも分かるだろう。以前ならばゲームだけに特化したラディカルな構成が必要だったが、現在はソフトウェア開発におけるメソッドの共通性が重視されるようになった。

photo PS4 Pro=ソニーの公式サイトより

 もちろん、ゲーム専用に設計されたコンピュータには、ゲームのプラットフォームとしての特別な配慮と設計、周辺機器などが用意されるが、以前のような分断されたプラットフォームではなく、ゲーミングPCとの間は比較的滑らかにつながっている。

 ユーザーは自分が用意できる好みのハードウェアで、ゲームの中に入っていけばいい。ゲーム専用機を入り口にゲーミングPCに向かうユーザーもいれば、最新のゲーミングPC環境を用意することに飽きて、ゲーム専用機に回帰するユーザーもいるかもしれない。

 クラウドゲーミングの世界も、そうしたスペクトラム(連続体)の一部として、よりカジュアルなユーザーが接する環境にはなりそうだ。ゲームの世界がいかなるものなのか、原体験を得る上でクラウドゲーミングは重要な役割を果たすようになるだろう。

クラウドゲーミング、グーグルへの苦情(?)とアマゾンへの期待

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