アマゾン参入でも、クラウドゲームが「プレステのライバル」にならない理由本田雅一の時事想々(1/4 ページ)

» 2020年10月02日 17時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 ソニーのプレイステーション5(PS5)が超絶な人気だ。初モノを手に入れようと、近年まれに見るほど、ECサイトへのアクセス集中と混乱が起きたこと、そして相も変わらず、高額転売が起きたことがフィーチャーされている。

 その一方、東京ゲームショウのタイミングで、アマゾンがクラウドゲーミングサービス「Luna」を発表した。これでマイクロソフト、グーグル、アマゾンと、クラウド業界ではトップの3社がゲームストリーミング事業を始めた。クラウドゲーミングには真っ先に投資してきたソニー、ゲームに不可欠なGPUのトップベンダーのエヌビディアも含めて、(海外では)“選べる状況”になった。

photo アマゾンが発表したクラウドゲーミングサービス「Luna」=同社のニュースリリースより

 選択肢が増えることは、いつでも喜ばしいことだ。

 クラウドを通じてコンピュータゲームを動かすハードウェアと接続し、ゲーム映像、音声、コントローラーの操作などをネットでストリーミングしつつ同期させるこの技術は、話が出始めた2008年ごろは極めて限定的な用途しか想定されていなかった。

 ところがグーグルが「Stadia」を発表し、ゲームコミュニティーに豊富な資金を落とし始めると、「ゲーム専用機の事業を脅かすのではないか?」という観測を時折、見かけるようになった。

 これは仕方がない。Stadia発表直後は、ゲーム専用機市場を縮小均衡へと追いやると筆者自身も考えたことがあった。しかし、そうした考えは意味がないことが分かってきている。その位置付けは、Lunaが始まったからといって変わらない。

クラウドゲーミングは、ゲーム専用機にとって脅威とはならない

 高価なハードウェアを購入しなくとも、手元にコントローラーと何らかの情報端末があれば一定水準以上のゲームを体験でき、ハードウェアの定期的なアップデートも必要なくなるなら、ゲーム機市場の裾野を支えるカジュアルなゲーマーが失われ、ゲーム機のビジネスは転換期を迎えるだろう。というロジックだ。

 しかし、そんなことが本当に起きるだろうか?

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