アマゾン参入でも、クラウドゲームが「プレステのライバル」にならない理由本田雅一の時事想々(4/4 ページ)

» 2020年10月02日 17時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
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 グーグルのStadiaもアマゾンのLunaも、現時点では日本でのサービス開始の予定は分かっていない。将来は分からないが、日本は没入型ゲームよりも、よりカジュアルなゲームや移動時にも遊べるモバイルゲームが好まれるため、導入されるとしても優先順位は高くはないだろう。

 クラウドゲーミングのサービスを快適に利用するには、ゲームを実行するサーバとエンドユーザーの距離(ネットワークの経路という意味で)を可能な限り縮める必要がある上、ユーザーとの回線速度や遅延の問題もある。

photo グーグルのクラウドゲーミングサービス「Stadia」=公式サイトより

 将来は5Gがその解決策になるかもしれないが、問題なのはグーグルがコアのゲーマー層に向けたプロモーションと同じようなコミュニケーションをStadiaで行ったことだ。まるで新しい次世代ゲーム機が登場したように感じた人もいたかもしれないが、結論からいえばコアゲーマーは手元にあるゲーム機にしか興味を持たず、遅延の大きなクラウドゲーミングには不平を言う。

 しかし一番の問題はパフォーマンスではなく、グーグルがターゲットを間違えていることだ。グーグルが獲得すべきなのは、YouTubeでゲームのプレイ動画を熱心に楽しみつつも、高価なハードウェアやゲームへの投資に躊躇(ちゅうちょ)している潜在ユーザーだといえる。

 YouTubeを起点に興味を持ったゲームを、クラウドを通して手軽に画面上に再現させることで、それまで没入型ゲームに興味を持ってこなかった消費者をゲームの世界に引き込むことができる。

 グーグルには没入型ゲームの原体験を提供し、将来の熱心なゲーマーを育てる役割が担えそうだが、現時点ではそうした意図が見られないことが残念だ。しかし、世界最大のクラウドサービスのベンダーでもあり、コンテンツやハードウェアの流通でも大手であるアマゾンが運営するLunaならば、ユーザーの裾野を広げ、ゲーミングビジネスを拡大させていくのでは? という期待が持てると思う。

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