消費税の10%への引き上げから1年。キャッシュレス還元や軽減税率などの緩和措置もあったが、消費者はどのくらいの負担を感じているのだろうか。また妥当だと考える消費税率は何%なのだろうか。
GV(東京都港区)が運営する情報メディア「まねーぶ」が9月末に行った調査によると、約8割が消費税増税の負担を感じている。増税負担を感じるようになったタイミングは、10%への引き上げが行われた2019年10月が最多で53.2%。次いで、年末の12月が9.8%、年度末の3月が8.8%となった。
「いつから増税の負担を感じるようになったか?」(まねーぶ調査結果より)
増税の緩和措置として行われたキャッシュレス還元については、約6割が評価しており、キャッシュレス決済の利用が増えたと回答した。一方で、約7割は「キャッシュレス還元があっても増税を感じた」と答えた。回答者からは、「キャッシュレス消費者還元事業が終了したらキャッシュレス決済を利用する意味がないと思った」という声もあった。
消費税率は何%が妥当だと思うかを聞いたところ、53.3%が「5%」を挙げた。「5%が負担感も少なく、買い物時のポイント還元でも得した感じるライン」「消費税を負担しなければいけないことは理解できるが、ニュースで無駄なお金を使っていることを知り腹立たしい気持ちがあるので納得できるのが5%」などという意見があった。
「消費税率は何%が妥当だと思う?」(まねーぶ調査結果より)
今回の調査は全国の20代から60代の男女800人に対して、インターネット上で行われた。回答期間は9月16日から9月20日。
- 消費税は弱者に厳しいというウソ 〜逆進性という勘違い〜
消費税は弱者に厳しい、逆進性があるという勘違いに基づく指摘は、結果的に複雑怪奇で史上最悪の軽減税率の導入にもつながった。しかし、消費税に限らず税金はどのように集めるか、そしてどのように使うか、負担と給付をセットで考える必要がある。そして、負担と給付の両面で発生する「二重の累進性」が高所得者には働く。これは消費税の逆進性を打ち消して余りあるほどに大きい。
- なぜデンマークは、消費税が25%でも軽減税率を導入しないのか
軽減税率は、一見すると正しそうな制度に見えるが、この制度が原因で、小売業界と飲食業界は混乱の極みにある。軽減税率は徴税コストが高く、線引きに手間がかかり、脱法行為を生み出しかねず、高所得者に有利。だから軽減税率よりも別の手段で還元した方が好ましい。デンマークはこのように軽減税率そのものを完全に否定している。
- 政府の”キャッシュレス推進”ウラの狙い 改善したい“不名誉すぎる”実態とは?
消費税増税からまもなく1カ月を迎え、キャッシュレスへの関心の高まりが顕在化してきた。政府が”身銭を切って”までキャッシュレス決済を推進するのは、異例とも思われる措置だ。その背景を理解するには、巷(ちまた)で言及されているような「インバウンド需要」や「脱税防止」以外にも押さえておかなければならない重要なポイントがある。それは、アンチ・マネーロンダリングだ。
- トイレットペーパーを「買い占める」ほうが“合理的”であるシンプルな理由
全国各地の小売店で紙製品が入手困難な状況が続いている。デマと判明しても続く買い占め行動。これを「大衆の愚かな行動」と断じるメディアが多いが、果たして本当にそうだろうか。倫理的には褒められたものではないが、経済学の観点からいえば買い占めに走る行動がむしろ当然で、「買い占めないほうが非合理的である」といっても過言ではない。
- 「今1万円」と「一週間後に1万1000円」どちらを選ぶ? 行動経済学も取り入れるマネーフォワードラボ
マネーフォワードが、お金に関する不安や課題を解決するたためのマネーフォワードラボ(Money Forward Lab)を設立して、1周年を迎えた。このたび、新たに技術顧問として、行動経済学を専門とする、慶応大学教授の星野崇宏氏を迎え、体制を強化して研究に取り組む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.