出前館、コロナ禍で増収も41億円の最終赤字 激化するフードデリバリーの覇権争い新規参入が続々(2/3 ページ)

» 2020年10月19日 13時40分 公開
[上間貴大ITmedia]

フィンランドの「青」ドイツの「ピンク」が日本参入

 2016年に東京でサービスを開始し、現在29都道府県で展開するウーバーイーツや出前館が国内でのシェア争いにしのぎを削る中、フィンランド発の「Wolt(ウォルト)」が東京の一部エリアでのサービス開始を発表した。

 ウォルトは、14年に北欧のフィランドでサービスを開始。20年10月現在世界23か国100都市以上で事業を展開している。全世界での登録ユーザー数は700万以上、レストランパートナー数は2万店以上で、配達パートナー数は4万5000人以上を誇る。

青いリュックの「ウォルト」

 同社は、ゴールドマンサックスから2億9000万ドル(約300億円)の大規模な資金調達を受けたほか、20年3月にはFinancialTimes(英)が選ぶ「ヨーロッパで最も急成長する企業」で2位に選出されるなど、現在注目を集めている。

 日本では20年3月に広島でサービスを開始し、札幌、仙台とエリアを広げ、10月22日から、東京都内の一部のエリアでサービスを開始する。

 初期投資として、現地スタッフの採用やマーケティング費用などに100億円を投入。半年間で新たに100人を採用し、現在約80人の従業員を倍近くに増やす。20年中に新たに4都市でのサービスを開始する考えで、今後2年で国内100都市でサービス展開を目指すという。

 他社との差別化を図る戦略として力を入れるのは、カスタマーサポートの充実だ。利用者や配達パートナーからの問い合わせには現地スタッフが対応。1分以内で返答し、早期の解決にあたる。また、配達パートナーの採用には交通安全順守などを含む適正テストを実施するなど安全性も強調する。

 また9月には、独デリバリーヒーロー傘下の「foodpanda(フードパンダ)」が日本進出を果たした。フードパンダは同社のアジア向けブランドとして、2012年からシンガポールや香港、タイなど11の国と地域の300都市以上で事業を展開してきた。

 9月17日から神戸、横浜、名古屋で、10月からは札幌、福岡、広島でサービスを開始。料理や食料品などのデリバリーサービスを展開し、2020年末までに、2桁台の都市への展開を目標に掲げる。

ピンクのパンダがトレードマーク

 テークアウト需要増に商機を見いだしているのは、デリバリー業界だけではない。料理を提供する外食業界もテークアウト事業に力を入れている。

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