インタビュー
» 2020年11月02日 07時00分 公開

サイボウズ青野社長が経営者に問う、新常態への「覚悟」の意味 (2/3)

[BUSINESS LAWYERS]

 ポジティブな理由とネガティブな理由があると思います。ポジティブな理由は、人が集まって仕事をしていた楽しかった頃の働き方に戻したいという前向きな気持ちがあるから。ネガティブな理由は、新しいマネジメントスタイルへの不安や恐怖です。社員の顔が見えない働き方のなかで本当にマネジメントができるのだろうかという不安から、社員に出勤を求めてしまうのだと思います。

──働き方の柔軟性は、従業員のモチベーションや会社を選ぶポイントにもつながると思います。

 ITを活用した柔軟な働き方を実現できないと、採用や人材の定着という観点からマイナスでしょうね。「うちはテレワークをさせません」という会社が働きたい環境として選ばれるとは思えません。

 さらに、長期的に考えると、インターネットをうまく活用したビジネスモデルへのシフトもできなくなってしまうと思います。例えば、富士通さんは2022年度末までにオフィスの規模を半減することを発表していますが、うまくやれば間違いなく経営効率が上がりますよね。家賃の削減分だけを考えてもビジネスに相当なプラスが出るわけです。逆にいえば、こうした判断ができない企業は、事業上の競争力も下がっていきます。

──一方で、テレワークによって仕事の効率が落ちてしまうことを懸念する方もいます。

 サイボウズでも、お客さまのところに足を運べないために営業効率が下がってしまうことを恐れていたのですが、実際にITを駆使してチャレンジしてみたら、移動時間がなくなったぶんだけ営業効率がずいぶん上がっていることに気付きました。一朝一夕でできることではないと思いますが、ITを活用し、移動しなくて済む世界をつくることは、長期的には間違いなくビジネスメリットがあると考えていただきたいです。

──テレワークによる、企業の一体感への影響についてはどのようにお考えでしょうか。

 組織の「一体感」とは、「働いている人たちが同じ理想・目的に向かって働いていること」を表すと思います。高校野球で例えれば、チーム全員が甲子園への出場を目指しているチームは一体感があるといえます。一方で、甲子園へ出たい選手と、楽しく野球することを目的とする選手とが混ざったチームでは、一体感は生まれづらいでしょう。

 つまり一体感を作るのは場所ではなく、理想です。理想が共有できていればテレワークで顔が見えなくなったとしてもお互いを信頼でき、一体感は損なわれないでしょう。働く場所が離れることで一体感が失われたように感じるのであれば、その一体感は勘違いかもしれません。

 一体感を醸成していくためには、組織の存在意義や目的を振り返り、またメンバー1人ひとりが共有・共感できているかを見直してほしいと思います。

IT活用はまず気軽に試してみるところから

──従業員一人ひとりの立場から取り組むべきことはあるでしょうか。

 もし経営者がテレワークなどのITを使った新しい働き方にポジティブなのであれば、従業員の方も一緒にチャレンジしてほしいですね。経営者はテレワークに前向きにもかかわらず現場が反発するケースもあると聞きますが、従業員の方々も覚悟を決めていただければと思います。

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