インタビュー
» 2020年11月02日 07時00分 公開

サイボウズ青野社長が経営者に問う、新常態への「覚悟」の意味 (1/3)

「100人いたら100通りの働き方」を掲げ、多様な働き方の実現に取り組んでいるサイボウズ。同社の青野慶久社長に、withコロナ時代の働き方や、コロナ禍以前の働き方に逆戻りしてしまわないための考え方について伺いました。

[BUSINESS LAWYERS]

本記事は、BUSINESS LAWYERS「サイボウズ 青野社長が経営者に問う新常態への『覚悟』の意味」(2020年9月1日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。

 新型コロナウイルス感染症流行の影響によりテレワークが普及し、グループウェアやWeb会議、電子サインなどのITツールを新たに利用開始する企業が増えてきています。一方で、緊急事態宣言の解除以降、通勤客数が徐々に上昇するなど、一度取り入れられたはずの柔軟な働き方が定着せず、慣例により従来の執務状況に戻ってしまう企業も見られます。

 本稿では、「100人いたら100通りの働き方」を掲げ、多様な働き方の実現に取り組んでいるサイボウズ株式会社の代表取締役社長 青野慶久氏に、withコロナ時代の働き方や、コロナ禍以前の働き方に逆戻りしてしまわないための考え方について伺いました。

photo サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久氏

全員オンライン化でサイボウズが気付いたこと

──新型コロナウイルス感染症の影響によって企業の働き方が大きく変化しています。このことを青野社長はどのように捉えていますか。

 新型コロナウイルスの流行拡大自体はネガティブなことですが、働き方の面ではポジティブに作用したところがありますよね。多くの人が集まる機会を避けなければならなくなったことで、みなさんがIT活用に関心を向ける機会になったと思います。

 一方、業務上でのITの利用は、今日はじめて明日からうまくいくというものではありません。サイボウズでは、他社に先駆けてテレワークを進めてきておりIT活用に慣れているため、コロナ禍においても何も問題ないと思っていました。しかし、今回全員がオンラインになったことで顕在化した反省点や改善点がありました。

──反省点や改善点はどういうところにありましたか。

 コロナ禍以前から誰もがテレワークできる体制は整えていましたが、人が集まる形の会議がメインでした。会議室のなかの人たちが会議の雰囲気をつかむことは容易ですが、リモートで会議に参加している人は、他の参加者の声も聞き取りにくいし、顔もよく見えない。リモートで会議に参加する人と会議室にいる人とで情報格差が生まれてしまっていたのです。

 今回、全員がオンラインになったことで、会議がずいぶんやりやすくなったという声はありましたね。

 その他、営業活動ではビデオ会議を通じた商談やオンラインセミナーに取り組むなど、新たな分野でのITの活用についても、手探りながらチャレンジしているところです。

テレワークできる人が実行することで、テレワークできない人の負荷軽減につながる

──7月にはテレビCMをはじめとして「がんばるな、ニッポン。」のキャンペーンを展開されました。このタイミングでキャンペーンを実施された狙いについて教えてください。

 「がんばるな、ニッポン。」のキャンペーンは、実はこれで2回目です。1回目は、感染拡大が始まりつつあった3月。ウイルスに感染しているのにそれを隠して出勤してしまうなど「自分が頑張らないと!」と考える人がいたなかで、社員を無理やり出勤させるのはやめませんか、というメッセージを発信しました。

 その後、緊急事態宣言などもあり多くの企業がテレワークに切り替えていきましたが、最近では出勤を再開する会社も出てきています。しかし、いまでも新規感染者が毎日出ているなか、せっかくテレワークのメリットを知ったのだから、本当に社員を出勤させるべきかどうか考えませんか? むしろテレワークをがんばりませんか? という思いを込めて、このタイミングであらためてキャンペーンを展開しました。

photo 「がんばるな、ニッポン。——これからも、テレワークという選択肢を」キャンペーンページ

──SNSなどでの反応をみると、キャンペーンのメッセージに賛同する声が多い一方で、「テレワークができない職種の人たちはどうしたらよいのか」「がんばっている人に対してがんばるなと言うことにもやもやする」という指摘もあります。こうした反響をどう捉えていますか。

 あくまで私の感覚ですが、8対2くらいで賛成の方が多いという印象ですね。もちろん、ネガティブなご意見も把握しています。しかし、テレワークできる人がテレワークをすれば、例えば、移動するにしても満員電車に乗らなくて済むようになりますし、テレワークができない人たちの負荷は下がります。

 全ての人に対してテレワークをやってほしいというつもりはありません。本当に出勤が必要かどうかを考えて、テレワークができるんだったら、テレワークをがんばってほしい。そうすれば、テレワークができない人も楽になる。こうした思いを持ってメッセージを発信しました。

 また、本当にテレワークができない仕事なのかどうかを見直すきっかけにしていただければとも思います。例えば飲食店では、デリバリーやテイクアウトにうまく対応できたことでさほどダメージを受けなかったところもあると聞いています。学校でもオンライン授業が始まっていたり、医療にも遠隔医療という手段があったりします。ビジネスモデルがどんどん変化していく時代において、今回のコロナ禍はITを使った新しい働き方にチャレンジするチャンスであるともいえます。

働き方を変えていく判断ができない企業は、今後競争力が低下していく

──テレワークが実施できていたにもかかわらず出勤を再開してしまう企業が多くあるのはなぜでしょうか。

 経営者の覚悟の問題でしょう。今回のCMの最初には、「経営者のみなさまへ」というメッセージを入れています。経営者がテレワークを取り入れ、働き方を変えていこうと決心すれば実現できると考えています。それにもかかわらず、判断ができない経営者の方もたくさんいらっしゃいます。

──なぜ、判断ができないのでしょうか。

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