日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
牛丼チェーンの「ラーメン代理戦争」が激しさを増している。
松屋フーズホールディングス(HD、東京都武蔵野市)が12月15日、「六厘舎」「舎鈴」「ジャンクガレッジ」「トナリ」などの人気つけ麺・ラーメンブランドを持つ松富士(東京都千代田区)を91億円で買収したのである。
松屋フーズHDといえば2025年7月、東京・新宿にラーメン専門の新業態「松太郎」をオープンし、ラーメンやチャーハンを提供する「松軒中華食堂」と合わせて計11店舗に拡大。今回の買収でさらにラーメンシフトが進むと見られている。
一方、ライバル・吉野家ホールディングス(HD、東京都中央区)も「ばり嗎」「キラメキノトリ」「せたが屋」「わだ商店」などのブランドを持つラーメン運営会社を次々と傘下に収め、2024年4月にラーメン店向けに麺やスープ、タレなどの商材を開発・販売する「宝産業」を子会社化。吉野家の店舗でも「牛肉玉ラーメン鍋膳」を提供するなどかなりの力の入れようだ。
日本の牛丼マーケットは「すき家」「松屋」「吉野家」という3ブランドによるほぼ寡占状態で、店舗数も頭打ちといわれている。そこで事業の多角化を進め、「すき家」のゼンショーホールディングス(HD、東京都港区)のように外食コングロマリット(複合企業)を目指しているという。実際、多様な業態を擁するゼンショーグループにも「伝丸」「壱鵠堂」「天下一」「威風」などのラーメン・中華チェーンがある。
ただ、そのような話を聞いても「牛丼が飽和状態だからラーメンにも手を出すってのはかなり危ないんじゃない?」と心配する人もいらっしゃるかもしれない。
飲食店経営の中でも事業継続が難しく「死屍累々」といわれているのがラーメン業態だからだ。
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