今、ラーメン業態にとって大きな追い風となっているのが外国人観光客だ。観光庁の調査でも、ラーメンは寿司よりも人気が高いことが分かっており、2024年度の市場規模は過去最高の約7900億円を見込み、10年前の1.6倍になっている。
もちろん、このような報道で気を付けなくていけないのは「外国人観光客にラーメンが大人気」といっても、その恩恵を受けるラーメン屋もあれば、「インバウンド? ウチにはまったく関係ねえよ」というラーメン屋もあり、むしろ後者のほうが圧倒的なマジョリティーということだ。
どんなに味がうまくて、素材にこだわっていても、立地が悪ければ外国人観光客は来ない。メニューや券売機の多言語対応がなければ、敬遠されがちだ。一方、外国人客を相手にしていないラーメン店の場合、メニューの多言語化など面倒なことをしなくていい代わりに、日本人しか相手にできないので、口コミなどで評価を得ない限りは、レッドオーシャンに沈んでしまう。
こういうシビアな現実がある中で、大手牛丼チェーンのような資本力があれば「インバウンド対応」を強化できる。メニューや券売機だけではなく、店員も外国語対応できる人材を採用できる。外国人観光客が情報源としている自国メディアやSNSでの情報発信にも投資できる。人気が出れば海外進出にも踏み出せる。
つまり、資金と組織力によって、個人経営店にはなかなか乗っかることができない「世界的なラーメンブーム」の波をとらえて、ラーメン事業をこれからの成長エンジンの柱にできるのだ。
その狙いが分かるのが今回、松屋フーズHDが買収した「六厘舎」である。この店はもちろん日本人にも人気だが、東京駅や上野、羽田空港など観光客が集まる場所に立地している。そのため外国人観光客の中でも口コミ評価が広がっているのだ。ゆくゆくは「日本の有名つけ麺店、ニューヨークに初上陸!」といった具合に、海外展開も期待できるかもしれない。
松屋フーズが新宿に出した「松太郎」もそうで、多言語対応済みの券売機で購入し、番号をアナウンスされたら自分で取りに行くというフードコートスタイル。つまり、店員は多言語で接客をする必要もないし、客側もスマホで調べながらたどたどしい日本語で注文をしなくていい。完全なインバウンド対応ラーメン店なのだ。
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