“トリキの錬金術”や“無限くら寿司”で課題噴出 Go To Eatが飲食店事業者を救わない、これだけの理由ここがヘンだよ「Go To Eat」(3/4 ページ)

» 2020年11月04日 14時02分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

地方にはあまりお金が落ちない?

 日本フードサービス協会によると、日本の外食産業の規模は約26兆円で、外食産業で働く人は約468万人。特に大企業がほとんどない地方では、飲食店は地域の経済を支える重要な業種でもある。

 地方の経済界からは、「Go To Eatキャンペーンによって恩恵を受けられる店舗の数や経済効果は、大都市に比べて著しく少ない」という声も聞こえる。

 「これまで持続化給付金や家賃支援給付金、雇用調整助成金、自治体の協力金などをもらって、金融機関の融資も受けながら何とか続けているところが大半です。経営者の高齢化も進んでいて、先が見通せないなかで、これ以上お金を借りるよりもこのタイミングで事業を継続するかどうかを考える経営者も多いです。

 オンライン予約サイトを利用している飲食店は地方では少ないですし、お客さんもわざわざサイトを使いません。食事券事業で地方に落ちるプレミアム分の金額も、Go To Eatキャンペーンの予算全体から見れば少ないと思います」(地方の商工会議所関係者)

 筆者は、農林水産省にオンライン飲食予約事業で都道府県ごとにどれだけの金額が支払われているのかを聞いたが、「地方別には精査していない」との回答だった。今後、実施期間中に精査する予定があるかどうかについても聞いたが「現時点では分からない」という。

phot 日本の外食産業の規模は約26兆円と推計されている(日本フードサービス協会のWebサイトより)

Go Toよりも消費税の減税を

 日本フードサービス協会が毎月実施している「外食産業市場動向調査」によると、今年9月の外食産業全体の売上は前年比86%。特にパブ・居酒屋業態については、新型コロナの感染が再拡大するなかで「パブ・ビアホール」が44.4%、居酒屋が52.8%と壊滅的な状況が続いている。

 協会は、このままでは年末に向けて外食各社は危機的な状況に陥るとして、8月7日に緊急理事会決議を行って、決議文を農林水産大臣宛に提出した。決議文は次の通りだ。

phot 農林水産大臣宛に提出した決議文

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