インタビュー
» 2020年11月10日 05時00分 公開

コロナ禍で奮闘する新規事業:東京メトロがヨガスクールを経営する理由 (2/3)

[今野大一,ITmedia]

児童館のような役割

 同施設は主にヨガとボルダリングを教える一方、毎月第4土日には野菜などを売るマルシェを開いたり、前述したカフェ事業を営んでいたり、地域の人々の生活に溶け込む仕掛けが施されている。記者は午前中から午後にかけてこのカフェで過ごしたが、多くの家族連れが来店しボルダリングやヨガに励んでいた。

phot 多くの家族連れが来店しボルダリングやヨガに励んでいた

 ボルダリングは原則小学生以上が可能になっていて、保育園児連れの家族が来店した際には「(ボルダリングは)小学生以上からなんですー。せっかく来てくれたからアメ持って行って―」とgreenerのマネジャーでBEACH TOWN社員の白川千佳子さんが声をかけていた。昔、地元の児童館で見たような光景で、同施設がそれに近い役割を果たしているとも感じた。

 白川さんは「(BEACH TOWNが運営する他の施設に比べても)住民の方との距離が近く、とても親しみやすく穏やかな雰囲気がある」と話す。同施設には子ども向けのかけっこ教室もあり、若い家族連れが参加しやすい仕組みが設計されていた。またカフェのコーヒーは隣の行徳駅近くのコーヒー店で特注したオリジナルブレンド豆をひいて提供している。マルシェに出店していたプラスナチュリ(千葉県船橋市)のから揚げも甘酒で仕込みをするなどこだわりが感じられた。

phot 毎月第4土日に開かれているマルシェに出店していたプラスナチュリのから揚げと弁当
phot から揚げも甘酒で仕込みをするなどこだわりが感じられた

 東京メトロの花木さんは「地域の皆さんに喜んでもらいたいと思って始めたので、できる限り地元に根差すよう心掛けています」と語る。そのおおもとには小坂取締役が言うように、greener自体が沿線の地域住民に溶け込みながら価値を提供するという考え方があった。

phot カフェには地域の人が集まってきていた
phot コーヒーは隣の行徳駅近くのコーヒー店で特注したオリジナルブレンド豆をひいて提供している

高架下の遊休地を有効活用 「駐車場以外に」

 花木さんにgreenerを提案した際の動機を聞くと「もともとは遊休地の有効活用というコンセプトで考え始めました。沿線の方々に使っていただける生活サービスをやりたかったのです」と教えてくれた。

 花木さんはもともと「一日にメトロを利用する700万人以上の方々にすてきなことを仕掛けたい」という思いで入社を決めたという。入社1年目の研修で高架下の土地が駐車場に多く使われているのを目にしていた。「せっかくなら沿線住民の生活の豊かさに寄与できるものにしたい」。そう思った花木さんは「メトロのたまご」で提案し、ボルダリングとヨガができるフィットネス事業を立ち上げた。妙典の高架下は駅から近く自然環境が多い。若いファミリー層にもそうした地域の自然を体感してもらいたいと考えたのだ。

 同社の経営陣としても沿線住民の健康に寄与することは、やがて鉄道事業にも良い影響が出てくると考えた。年間20〜30件ほど寄せられる提案の中、見事に花木さんの提案が採択され、運営を任されることになる。花木さんは抱負を話す。

 「今はgreenerに専任で関わっています。パークヨガでは市川市さんにも後援をいただいておりますが、その際の調整など外部との渉外も大事な仕事です。告知物製作や収支の確認など幅広く業務にあたっています。これからも長期的に地域に根差していくように事業を運営していきます。いつの日か地域の方々に『妙典といえばgreener』と思ってもらえるような場所にしたいです」

phot 花木さんは、高架下の土地が駐車場に多く使われているのを目にし、「せっかくなら沿線住民の生活の豊かさに寄与できるものにしたい」と考えた

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