今や社会現象となっている大ヒットアニメ『鬼滅の刃』。原作漫画の累計発行部数は1億部を超え、10月16日に公開された劇場アニメ「劇場版『鬼滅の刃』 無限列車編」は、公開から1カ月で興行収入が230億円を突破。歴代最高のペースで記録を伸ばし続けている。
『鬼滅』効果は企業活動にも多大な影響を及ぼしている。多くの商品やサービスが『鬼滅の刃』とコラボし、それぞれ非常に多くの売り上げをあげている。例えば大手飲料メーカーのダイドーが「鬼滅の刃」のキャラクターをデザインしたコラボ缶コーヒーを10月5日に発売したところ、発売3週間弱で5000万本を売り上げた。
また、大手菓子メーカーのロッテも、自社の看板チョコレート菓子「ビックリマン」と『鬼滅の刃』がコラボした商品「鬼滅の刃マンチョコ」を全国のコンビニなどで11月3日に発売したところ、またたく間に品薄となった。
いずれも転売目的の買い占めも目立つのが特徴だ。特に「鬼滅の刃マンチョコ」では、同封されている特典シールだけを抜き取り、「本体」といえるウエハース菓子がコンビニのごみ箱に大量に捨てられている店員の投稿がSNSで話題となった。
こうした熱狂ぶりは、実は国が力を入れている観光分野にも経済効果を及ぼしている。劇場版『鬼滅の刃』が蒸気機関車の車内を主な舞台にしていることから、蒸気機関車とのコラボも盛んだ。
例えばJR九州は「SL鬼滅の刃」を、熊本駅から博多駅の間を11月の土日祝日に走らせている。もともとは令和2年7月に豪雨で被害を受けたJR肥薩線を走っていた蒸気機関車「SL人吉」を流用しているのも特徴だ。
「SL人吉」は現存する日本最古の蒸気機関車としても知られ、1922年(大正11年)に作られた。「国鉄8620形蒸気機関車」という1914年(大正3年)から1929年(昭和4年)にかけて製造されたモデルで、通称「ハチロク」と鉄道ファンの間で呼ばれ親しまれている。
『鬼滅の刃』の舞台も大正時代であり、作中の蒸気機関車のモデルではないかといわれていることからも、ファンの間では注目が集まっている。蒸気機関車の先頭には「無限」という文字が書かれたヘッドプレートも装着され、アニメの再現度も高い。
こうした経緯から、「SL鬼滅の刃」は指定席券が販売された瞬間、秒で売り切れる事態となった。熊本博多駅間で840円(税込)の指定席券が、4万円以上で転売される事象も起こっている。また、特に博多駅では10年以上ぶりにSLが乗り入れるということで、「鬼滅」ファンだけでなく鉄道ファンも押し寄せ、約1500人が「SL鬼滅の刃」の到着をお出迎えすることとなった。
このほか、JR九州では辛子明太子や、宮崎牛のすきやきなど、九州の特産品を使った駅弁を販売し、その駅弁にキャラクターのクリアカード(全5種類)のうち1枚をつけている。
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