コロナ陰性の証明書は1回3万円 それでも増える利用者出張で自腹の人も

» 2020年12月02日 08時58分 公開
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 那覇市医師会で11月に入り、新型コロナウイルスに感染していないことを示す「陰性証明書」の発行数が増えている。陰性のお墨付きには税込みで3万円かかるが、それでも「文書で示せるのは大きい」と利用者たちは言う。医師会検診部の真栄田哲部長は、停滞していた経済活動が再開したことで必要な人たちが増えてきているとし「証明書は安心感にもつながっている」と分析する。(社会部・山城響)

駐車場で窓越しに、PCR検査の注意点を説明する那覇市医師会の職員=11月13日、那覇市東町

 13日午後3時25分。警備会社で働く宜野湾市の男性が、那覇市東町の医師会駐車場に到着した。車に乗ったまま、短時間で検査が受けられるのが特徴だ。男性は運転席の窓から唾液を入れる容器を受け取り、注意事項が書かれた用紙に目を通す。

 必要量は小さじ半分ほどの2ミリリットル。用紙の裏面には梅干しとレモンの写真。酸っぱい食べ物を見て唾液の分泌を促すためだ。容器の目印までたまったら、車のハザードランプを点灯するか、手を振って職員に知らせる。男性は到着から約5分で検査を終えた。

 あなたは陰性です――。4日後、医師会から男性の自宅に陰性証明書が届いた。県内の大型商業施設で警備業務に当たる。従業員の通用口や店舗の入り口などで不特定多数の人と日々接する。「施設の信用に関わる仕事なのでホッとした。証明書のおかげで前向きになれたというか、安心して仕事ができる」

 50代の建設業の男性は、毎週のように県外へ出張している。人口10万人当たりの感染者数の割合が連日、全国上位の沖縄。取引先が不安にならないよう、出張のたびにPCR検査を受けてきた。「証明書を見せれば信頼感につながる。『陰性でした』って言葉で伝えるより、説得力もあるでしょう」

 仕事に責任を持つ以上、自腹を切るのは仕方がないと思って検査を受け続けてきた。費用はかさむ一方。「月に1度は証明書を発行してもらうつもり。補助を手厚くするなど、国がもっとサポートしてくれないと」

 那覇市医師会が証明書の発行を始めたのは8月17日から。10月末までの2カ月半で検査を受けたのは22人だが、問い合わせは日に日に増え、11月は1カ月だけで39人。サトウキビの収穫に合わせて県外から出稼ぎに来る人たちの一斉検査もあったという。

 真栄田部長は「陰性証明はあくまで検査日に唾液を出した時点までの評価。感染防止対策は常に必要だ」と注意を呼び掛けた。

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