“電車”から着想した「家で作る軍艦巻き」 コロナ禍で3割増の「手巻きずし用のり」に続くかニコニコのりの狙いとは(1/3 ページ)

» 2020年12月07日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 新型コロナウイルスの影響で、家族で家にいる時間が増え、手軽なパーティーメニューが食卓に登場する機会が増えている。その一つが手巻きずしだ。

 のりを主力とする食品メーカー、ニコニコのり(大阪市)の商品にも、その効果は表れている。2020年4〜7月の手巻きずし用のり商品の売り上げは、前年同期比30.2%増。料理に使うトッピング用ののりも大きく伸びた。

 そんなトレンドを見据えて、同社初の試みとして10月に発売したのが「軍艦巻き」用の焼きのりだ。あらかじめ細くカットしてあるのりで、酢飯に巻いて具材をのせるだけで、好みの軍艦巻きを作れる。「のりで食のシーンを広げる」ことに挑んでいる同社に、コロナ禍での商品戦略を聞いた。

ニコニコのりが「軍艦巻き」用ののりを発売。コロナ禍で開拓を狙う需要とは?(ニコニコのり提供、以下同)

まとめ買いや料理の需要が拡大、販売1割増

需要が拡大した手巻きずし用の「酢付のり」

 ニコニコのりの主力である家庭用のり商品は、コロナ禍で販売を伸ばした。4〜7月、業界全体の家庭用のりの販売規模は前年同期比1割増。ニコニコのりでも11%増となった。

 特に好調だったのが、家での食卓や料理に使われる商品。手巻きずし用に加えて、卓上タイプの味付けのりは26.9%増。まとめ買いやスナック替わりに食べる需要が拡大した。また、パスタや丼にかける味もみのりは約2.4倍、きざみのりは19.5%増、お好み焼きなどのトッピングで使う青のり・あおさは13.2%増とそれぞれ伸長。料理の頻度が増えたことで需要が広がった。

 一方、仕事や行楽、イベントなどにお弁当を持っていく機会が減ったことから、おにぎり用ののりは低調。前年を下回った。それでも、全体を見れば、在宅需要を取り込んで好調だといえる。

 売り上げが堅調な中で、これまでにない商品として発売したのが、軍艦巻き用ののりだという。同社商品開発部 商品開発課課長の志智久氏はこの商品について「急きょ、商品を企画して発売した」と話す。なぜ、既存商品が好調な中で初めての挑戦に踏み切ったのか。

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