これまで軍艦巻き用ののりがなかったことについて、志氏は「家庭で軍艦巻きは作らない、という決め付けから商品化していなかった」と説明する。これまで想定していなかった需要を見いだすことができたのは、あるきっかけがあったからだ。
新型コロナの感染拡大後、家庭用商品の販売は好調だったが、特に子どもの在宅時間が増えたことに対して「何か貢献できる商品を提供できないか」と考えていたという。子どもにとっては、家で家族と料理をしたり食事をしたりする機会は増えたものの、夏休みの旅行やピクニックなど、お弁当を持って出掛ける楽しみは失われてしまった。
模索する中で見つけたのが、家電などの企画・開発を手掛けるライソン(大阪府東大阪市)の商品「回転寿司トレイン」だ。レールの上に電車を走らせ、その上にお皿を載せて回転ずしを楽しめる玩具で、ステイホームが呼び掛けられる中で話題になっていた。
このおもちゃによって「軍艦巻き」に行き着いたという。「手巻きずしと比べて、軍艦巻きは家ではあまり作らない。だが、回転ずし店では子どもに人気があるメニューだ。家でも意外と簡単に作れるし、子どもの好きな具材を載せられる」と志氏は説明する。
すぐに「回転寿司トレイン」とのコラボレーションを持ち掛け、専用ののり「軍艦巻き用焼のり 7切20枚」を開発。急きょ、秋の新商品に加えた。通常、秋の新商品は9月1日に発売するため、春先に内容を決定する。今回の軍艦巻き用のりについては、7月に商品化を決定し、10月1日に発売にこぎつけた。
商品は、軍艦巻き用に板のりを7切サイズにカット。子どもも作りやすく、食べやすいように小さめのサイズにした。パッケージはニコニコのりの他の商品と大きく異なる。「回転寿司トレイン」で遊ぶ家族のイラストを前面に打ち出し、楽しさが感じられるデザインにした。
志氏は「のりの商品は、味や切り方などの種類が出尽くしたと思われがちだが、まだまだ新しいことができる。今回の商品では『軍艦巻きも家でできる』という提案を広めていくことで、のりの食シーンを増やしたい」と話す。
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