のりというと伝統的な食品で、ニコニコのりも21年には創業100周年を迎える老舗だ。それでも、「王道と見せかけて、新しい商品をやっていきたいという機運がある」(志氏)という。以前にも、トレンドをいち早く見極めて新商品を出した成功体験がある。
それは、15年にブームとなった「おにぎらず」だ。のりにご飯と具材を載せ、包んでカットするだけで簡単に作れると話題になった。トレンドを察知した同社は15年春、おにぎらずの専用商品をいち早く発売。のりはあらかじめ塩とだしで味付けしており、包むだけで味がなじむ。販促や情報発信にも力を入れ、おにぎらずブームのけん引役となった。
他にも、のりの用途を提案する、利便性の高い商品を開発している。酢などの調味料で味付けした「手巻酢付のり 2切8枚」は、手巻きずしの酢飯を作る手間を省ける商品。弁当のおかずを入れるカップとして使えるのり「海苔のうつわ」や、キャラクターやメッセージの形をくりぬいてキャラ弁を作りやすくした「キャラデコのり」「おしゃべりのり」シリーズ、のりとわかめを組み合わせたスナック菓子「海藻スナックのりわかめ」なども展開している。志氏は「まだまだ新しい価値を付けて、のりの食シーンを広げられる。軍艦巻き用のりもその一環だ」と話す。
20年秋の新商品では、軍艦巻き用のり以外でもコロナ禍のトレンドを意識している。買い物の回数を減らす“まとめ買い”需要に対応する「卓上味付けのり 10切252枚」、“家飲み”のおつまみ需要を見込んだ「韓国伝統のり 2袋」「韓国伝統のり 3袋」、節約志向が高まる一方で拡大する“ぜいたく”需要を意識し、高品質・国産の原料を使用して開発した「味極Rich 10切50枚卓上」「焼極Rich 10切50枚卓上」を打ち出している。
志氏は「コロナ禍が落ち着いたとしても生活者への影響は残る。飲み会の変化や、家で過ごすニーズは継続していくのでは。動向を見据えながら、引き続きお客さまが望んでいる商品を調査していく」と語る。伝統的な食品だからこそ、安定した定番商品だけでなく、新しい発想の商品を生み出そうとしている。そういった取り組みは、先行きが見通せない状況で成長するために必要なものだといえるだろう。
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