インフレが来る? 通貨からの逃避続く世界経済(1/3 ページ)

» 2020年12月10日 15時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 コロナ禍の拡大は続いているが、株式市場は好調を維持している。この背景には何があるのか。「貨幣からの逃避を垣間見た、それが今年のマーケットだった」。そう話すのは、フィデリティ投信のマクロストラテジスト重見吉徳氏だ。

フィデリティ投信フィデリティ・インスティテュート マクロストラテジストの重見吉徳氏。今年の1文字として「避」をあげた

 貨幣からの逃避とはどういうことか。コロナ禍において、世界各国の政府は対策としての補助金や給付金を大量に支給した。重見氏が「パンデミック以上に驚いたのはGo Toキャンペーンだ」というように、政府が国民の生活費の一部まで持ち始めた。

 しかし、バラまかれたマネーの出どころは国債などの借金だ。その結果、「中央銀行が自由にいくらでも貨幣を印刷できる。不換紙幣からの逃避が起きた」(重見氏)わけだ。

 米国の通貨であるドルは売られ、下落した。一方で、通貨からの逃避先として選ばれたのは金融資産だ。米国のインフレ連動債が買われ、金(ゴールド)が買われた。そして世界中で株価が上昇したわけだ。「マネーから金融資産に積極的に変えようという動きは、それ自体がインフレだ」。重見氏は、そのように話す。

4月からドルが下落する一方で、各金融資産は大きく値上がりした(フィデリティ投信) 
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