コロナ禍の拡大は続いているが、株式市場は好調を維持している。この背景には何があるのか。「貨幣からの逃避を垣間見た、それが今年のマーケットだった」。そう話すのは、フィデリティ投信のマクロストラテジスト重見吉徳氏だ。
貨幣からの逃避とはどういうことか。コロナ禍において、世界各国の政府は対策としての補助金や給付金を大量に支給した。重見氏が「パンデミック以上に驚いたのはGo Toキャンペーンだ」というように、政府が国民の生活費の一部まで持ち始めた。
しかし、バラまかれたマネーの出どころは国債などの借金だ。その結果、「中央銀行が自由にいくらでも貨幣を印刷できる。不換紙幣からの逃避が起きた」(重見氏)わけだ。
米国の通貨であるドルは売られ、下落した。一方で、通貨からの逃避先として選ばれたのは金融資産だ。米国のインフレ連動債が買われ、金(ゴールド)が買われた。そして世界中で株価が上昇したわけだ。「マネーから金融資産に積極的に変えようという動きは、それ自体がインフレだ」。重見氏は、そのように話す。
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