こうした背景から、長期ではインフレが想定される。そしてインフレに対応する資産として、株式やREIT(上場不動産投信)に資金が流入している格好だ。インフレへの対策としては、インフレ連動債や金(ゴールド)、仮想通貨も考えられるが、これらにはリスクがある。「インフレ連動債は強制償還があるかもしれない。ゴールドは民間での所有が禁止された歴史もある。流動性にも注意してほしい」(重見氏)
40年にわたり低インフレが続いてきたが、ゼロ金利から貨幣の発行増大、債務拡大と来たとは、これまでの歴史ではインフレが襲っている(フィデリティ投信)
一方で中期ではまだディスインフレが続くと見る。4〜5年、もしかしたら10年近くは、中銀の金融緩和が続く可能性が高く、株高は続くという見立てだ。
では日本においては、インフレが起こるとしたら何がきっかけになるのか。かつてのドイツやジンバブエで起こったような、物価が1年で数倍になるハイパーインフレはすぐには考えにくい。最近の高インフレの国であるトルコの状況などをみると、通貨安によって輸入品が値上がりする「輸入インフレ」という流れではないかと見る。
「日本の経常収支が赤字に転換するタイミングで、円安が起こる。すなわちインフレになるのではないか。トリガーは通貨安だ」(重見氏)
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