HIS、250億円の最終赤字 海外旅行需要が低迷、今期業績予想は未定国内旅行を拡大へ

» 2020年12月11日 18時00分 公開
[ITmedia]

 旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が12月11日に発表した2020年10月期連結決算は、純損益が250億円の赤字だった。第2四半期以降は新型コロナウイルスの影響が大きく、旅行やテーマパークなどの事業で低迷。21年から段階的に回復基調に入ると見込んでいるものの、21年10月期の業績予想は未定としており、先を見通せない状況が続きそうだ。

HISが2020年10月期決算を発表。旅行需要低迷が響いた(出典:HISグループ公式サイト)

 20年10月期は、売上高が前期比46.8%減の4302億円、営業損益は311億円の赤字(前期は175億円の黒字)だった。

 主力の旅行事業で、新型コロナによる各国の渡航制限などが大きな打撃となった。旅行事業の売上高は51%減、営業損益は211億円の赤字だった。ただ、海外旅行は落ち込みが続くものの、国内旅行は徐々に回復。GoToトラベルキャンペーン開始後もしばらく回復は限定的だったが、10月には国内旅行取扱高が前年の80%にまで回復している。

旅行事業の業績の推移(出典:2020年10月期決算説明会資料)
国内旅行は回復基調にある(出典:2020年10月期決算説明会資料)

 「ハウステンボス」を中心とするテーマパーク事業も、売上高は52%減、営業損益は33億円の赤字だった。ハウステンボスは計56日間休園。営業再開以降、入場者数は徐々に回復しているが、9月も前年の54%にとどまっている。ホテル事業も、宿泊客の大幅な減少により、売上高が31%減。営業損益は35億円の赤字だった。

 今期以降の連結業績については、22年10月期には19年10月期の98%の水準まで回復すると想定。影響が長引く旅行事業とホテル事業は、21年初頭から段階的に回復基調に入り、影響が比較的小さい他の事業は早期の回復を見込む。

 一方、21年10月期の業績予想は未定とした。現時点で判断が可能な第1四半期(20年11月〜21年1月)に限り予想を公表。売上高は前年同期比82.0%減の360億円、営業損益は100億円の赤字、純損益は63億円の赤字と、厳しい見通しとなっている。

 国内向けの旅行事業においては、海外旅行の需要が回復してくるまでは国内旅行を強化。GoToトラベルキャンペーンなどに伴う需要拡大に合わせて商品を拡充する。海外旅行も回復に向けて取り組みを強化するが、これまで海外旅行の売上高比率が圧倒的に大きかったことから、国内旅行の売り上げ拡大によってバランスの取れた収益構造に変えていくという。また、計100店舗の統廃合や集客チャネルのオンライン化、人員配置や採用計画の見直しなどのコスト削減も実施する。

国内旅行を強化し、事業を成長させる(出典:2020年10月期決算説明会資料)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.