堀江貴文がコロナ禍で提示するミュージカル『クリスマスキャロル』 「“不要不急”こそが人間の本質」運営とマネタイズの難しさ(2/3 ページ)

» 2020年12月12日 07時15分 公開
[今野大一ITmedia]

会場の変更、団体客のキャンセル、けいこ中の苦労

 コロナの影響が運営面にどんな影響を及ぼしたかを聞くと、関西での公演会場を変更せざるを得なかった事情を明かす。

 「19年から予約していた会場がクローズしてしまって……。でも神戸に良い会場を見つけられてよかったです。あまり人数を入れられない会場ではあるのですが、仕方ありません」

 また、費用を支払った上ではあるものの団体客のキャンセルがあったことも痛手となった。前回は大きく看板を掲げていた協賛企業も大々的なアピールをしていない。

 「集客ももっと増えると思っていましたが状況が変わってきて全然増えなくて……。そこがきつかったですね。まあでも頑張っているほうだと思いますよ」

phot 雪を降らすなどの初の演出がなされていた

 会場では感染対策がしっかりと取られていた。もともと同公演は観客を間引いた形で実施している。客にマスク着用を呼びかけるほか、入場時には検温と消毒を実施。加えてチェックシートに倦怠感などの症状がないかを記入し提出させることも義務付けた。コロナ禍でのイベント運営の難しさを感じさせる。イベント当日だけでなく1カ月半ほど続けてきたけいこ期間中にも苦労があったと話す。

 「検温とアルコール消毒に加え、全員がマスクを着用しながらのけいこはなかなか大変で、つらい毎日でした。でも充実したけいこができたので舞台の完成度は過去最高だと思います」

 やはりコロナの影響が大きな影を落としている。堀江は2020年で最も大変だったことに自身が代表を務める和牛レストランのWAGYUMAFIA(東京・港)の運営を挙げた。一方でコロナ禍でのビジネスの難しさを尋ねると前向きな言葉が返ってくる。

 「まあ諦めても仕方ないですから。こんな苦しい状況でもうまくできれば無敵になれるじゃないですか」

 堀江は、経営者に必要な資質は「しつこさ」だと話す。コロナ禍での新たなマネタイズの試みも始めている。12月9日の公演ではライブ配信サービス「ツイキャス」を使い、初の生配信をした。1500円のネットチケットを販売することで少しでも収益化したい考えだ。また、高級シャンパンの「ドン・ペリニヨン」を5万円、「ドン・ペリニヨン・ロゼ」を10万円、「平和酒造の紀土 無量山」を20万円で販売している。購入した客は堀江と写真を撮ることができるようにした。19年はシャンパンだけでも600万円分の収益をあげたという。

 平和酒造(和歌山県海南市)の山本典正社長は商品提供の狙いを語る。

 「日本酒も高価格帯の市場を創出していかなければならないと考えています。フランスワインなどにもクオリティーは全く負けていないのに日本酒が安く販売されている状況があり、業界全体もひっぱくしてしまっています。その状況を打開するための方策として、商品を提供させていただきました」

phot 「平和酒造の紀土 無量山」は劇中にも登場

 加えて「キャスト応援チップセット」も販売。チップ10枚(2000円分)でマッサージのサービスや一部のキャストとチェキ撮影ができるようにした。

 「富裕層のお客さまが多いのでシャンパンは売れるんです。キャストを応援する仕組みはバーレスク東京を参考にさせてもらいました。チップは分かりやすくいうとAKB48でいう『握手券』的な位置付けです。17 LiveやSHOWROOMの投げ銭とも似た感じですね。それも含めての余興ですから」(堀江)

phot 「キャスト応援チップセット」も販売。チップ10枚(2000円分)で一部のキャストとチェキ撮影ができる
phot チップシステムによって出張セラピストの尼崎双葉によるマッサージも受けられる。尼崎はゼロ高等学院の現役生徒でマッサージを手掛ける会社を起業したばかり

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