「新リース会計」のインパクト! 無視できない理由と、その先にある資産管理の“進化の姿”とは

2019年1月から強制適用となった国際財務報告基準「IFRS」の最新基準であるIFRS16号。IFRS未適用の多くの日本企業にとって、これまで特に意識する必要のなかったこのリース会計基準への関心が、急速に高まっている。その背景には何があって、企業はどんな対応が必要なのだろうか。

» 2020年12月24日 10時00分 公開
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 新リース会計基準への関心が国内でも急速に高まっている。

 2019年1月から強制適用となった国際財務報告基準「IFRS(International Financial Reporting Standards、イファース)」の最新基準であるIFRS16号(IFRS16)。IFRS未適用の多くの日本企業にとって、これまで特に意識する必要のなかったこのリース会計基準への関心が、ここにきてにわかに高まっている。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

グローバルスタンダードの大きな波

 背景には次の3つの要因がある。1つ目は、日本の企業会計基準委員会(ASBJ)が18年に公表し、19年4月1日以後の事業会計年度から原則適用となった改定実務対応報告18号だ。

 持分法適用関連会社の会計処理の取り扱いに関して、「同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計方針は、原則として統一しなければならない」(連結会計基準17項)という原則があるが、実務対応報告18号では、「『IFRS』ないしは『米国会計基準』に準拠して作成された財務諸表を連結手続き上利用できる」ことが明示されている。

 プロシップのシステム営業本部 執行役員 副本部長の水野恭併氏は、「従来は、連結財務諸表の作成で、国内外を問わない連結子会社の会計方針の親会社への準拠が求められていました。しかし、在外子会社で日本の会計基準を適用する事は実務上、現実問題として難しかった。改定実務対応報告18号は、このことを踏まえて策定されたものであり、IFRS未適用企業の間でも、在外子会社でIFRS16を適用する動きが急速に広がっているのです」と解説する。

プロシップのシステム営業本部 執行役員 副本部長の水野恭併氏

 理由の2つ目が、世界の工場として日本企業も数多く進出する中国での会計基準の改定だ。具体的には18年に発表された「企業会計準則21号」により、21年1月以降の事業開始年度から、多くの日系企業が該当する中国国内の非上場の企業に対して、IFRSに準ずるリース会計処理が新たに義務付けられる。現在、少なからぬ日本企業の中国法人が対応作業の最中にある。

 3つ目が、米国や中国の会計基準の改定に見られる、会計基準の国際的な収斂(しゅうれん)の流れの中での、日本基準とIFRSとのコンバージェンスの動きだ。ASBJは19年3月、リース取引のすべてを貸借対照表に資産計上する会計基準の開発着手を決定した。その意味するところは、日本のリース会計のIFRSに準拠する形での見直しだ。

新リース会計基準では従来のリースの概念はどう変わるのか

 従来、業務で広く利用されているオペレーティングリースは、借り手側の資産計上を必要としなかった。ASBJの今回の開発着手により、この状況が近い将来、大きく覆されることが確実視されている。

 「今回の“リース”に先立ち、ASBJは“収益認識”のコンバージェンスに取り組み、21年からの強制適用がすでに決定しています。リースも早ければ21年中に公開草案が発表され、その数年内にはIFRS16と同様のリース資産計上が義務付けられると見込まれています」(水野氏)

 国内でも新リース会計基準が無視できない存在になっていることは、これらの動向から容易に理解できるだろう。特に日本基準のコンバージェンスのインパクトは、あらゆる日本企業が対象となる点で極めて巨大だ。水野氏は、「時間的な余裕はそう長くは残されていません。新リース会計基準への円滑な対応に向け、できる限り早く検討に乗り出すべきことは明らかです」と強調する。

 ただ、対応の道のりは実のところ険しい。そもそも、新リース会計基準は従来のリースの概念を大きく変えるものだ。

企業会計準則21号で、リースの概念は大きく変わる(プロシップ資料)

 IFRSに準拠した中国の企業会計準則21号を見てもそれは明白である。リースの定義は「一定期間、対価を払って使用する権利を得る契約」となり、事務所や社宅などの不動産賃借契約などがリース資産の範疇(はんちゅう)に新たに加わる。原則的にそれらすべての資産計上が必要となるほか、リース期間は契約書の契約期間ではなく、実際に利用する期間になり、契約期間中に利用期間が変更になった場合には、リース期間を再設定して資産額と負債額の再計算などを新たに行わないといけない。

 「一連の処理のために、これまで現場主導で利用していたオペレーティングリースを含めた全リース契約を、漏れなく把握するための全社的な仕組みの整備が必要となります。また、決算開示資料で2倍、仕訳パターンで4倍以上の増加が見込まれることを踏まえ、経理業務の負担軽減のためにシステム側の改修も欠かせません。さらに、新業務の定着にあたっては、社員の意識変革も必要です。それらに共通するのは、いずれも一筋縄ではいかないということです」(水野氏)

ProPlusを武器にIFRS対応を支援するプロシップ

 こうした中、企業のIFRS対応の支援に先進的に取り組み、数多くの実績を上げてきたのがプロシップだ。そこでの同社の武器が、IFRS16対応の固定資産管理ソリューション「ProPlus」である。

 ProPlusの最大の特徴は、IFRS16のための機能の豊富さだ。IFRS16対応の課題の1つが、すでに述べた仕訳などの経理作業の増加だが、ProPlusは、1つの入力から日本基準とIFRS基準の仕訳を作成する「自動仕訳機能」や、両基準の帳簿を同時に作成・保持する「複数帳簿機能」、両基準にのっとり、契約ごとにリースの種類を自動的に判定する「自動判定機能」など、作業の負担軽減に直結する多様な機能を標準で備える。

 「これほど充実した機能を備えたIFRS16対応の固定資産管理システムは、ProPlusだけといっても過言ではありません」と水野氏は笑顔で語る。

 海外子会社での導入も想定し、24カ国の税務標準と英語や中国語にも対応。これらが高く評価され、ProPlusはIFRS適用企業の3割、20の国と地域の160以上の法人に対する導入実績を誇る。

 一方で、IFRS16適用時の留意点となるのが、新たに認識される「使用権資産」と「リース負債」が財務諸表、ひいては各種の経営数値に影響を与えることだ。

IFRS16が適用になると、営業利益やROAといった各種経営数値に影響がある(プロシップ資料)

 例えば、使用権資産により資産合計が増えることで「ROA(Return On Asset:総資産利益率)」は低下する。また、「支払リース料」のうち「支払利息」が営業外費用となることで、最終的な利益は変わらないまま営業利益は増加する。

 それらは経営者の意思決定を少なからず左右する。従って、IFRS適用に当たっては事前にリース資産を洗い出し、影響額を測定したうえで結果を経営層に報告することが必須となる。プロシップはそのためのツール「新リース会計影響額試算ツール」も提供している。リース資産の契約/支払い期間や支払いリース料などを入力することで、10年先までの影響額やBS項目(資産と負債の簿価)、PL項目(償却費と利息)を事前に算出できる。

紙ベースの業務を自動化するAI-OCRソリューション

 ProPlusは会計基準変更や税制改正などの制度対応のみならず、業務効率化や変化対応などを目的に今でも進化を続けている。その狙いを形にしたのが19年12月から販売する「AI-OCRソリューション」だ。

 AI-OCRソリューションは、建設物の竣工(しゅんこう)までに業者に支払う代金を仮計上する「建設仮勘定」業務を効率化するものだ。建設物の見積書などは1つの建築物あたり数百〜数千枚になることもザラで、かつ紙ベースでのやりとりがいまだ主流のため、システムへのデータ登録に膨大な手間暇を要する。また、共通費などの適切な振り分けに、経験やノウハウも必要となる。

 AI-OCRソリューションでは、それらの人手での業務を、OCR(光学式文字読み取り)による文書のデジタル化と、AIによる文字認識による集約/整理によりシステムに置き換える。その効果はPoC(概念実証)において、建仮精算業務に要していた年間3000〜4000時間が、800〜1400時間にまで大きく削減されたことに明確に表れており、そのメリットから発売以来、見込み以上の売り上げの伸びを見せているという。

業界別の標準機能を備えたソリューションでシステム課題を一掃

 また、プロシップが新たに力を入れているのが社会インフラ業界向けのProPlusの個別ソリューション化だ。

 鉄道やエネルギーなどの業界では巨大設備の保持という特有の事情から、鉄道事業会計規則や電気企業会計規則などの会計ルールが個別に設けられている。その点から、各社は固定資産管理システムを従来、自社開発するかERPをベースに業界固有機能を作り込むことで整備している。ただ、弊害としてシステムの複雑さが増し、システムの維持/運用に加え、制度変更時の迅速な改修が困難になっていた。

 「その改善策が、業界固有の会計ルールに特化したProPlusの標準機能の提供です。これにより、システムの複雑さに起因する問題を抜本的に解消できます。無論、環境整備や運用にまつわるコスト削減も可能です」(水野氏)

 いち早く提供を開始した鉄道業界向けのソリューションは、すでに電鉄大手の半数以上で利用されている。そこでの反応の大きさから、今後は電力会社やガス会社向けなどの開発も進めるという。

 一般に企業の固定資産は大企業でも10万件ほどだが、インフラ業界では百万件を超えることもある。ProPlusがそれほどのデータ管理に対応できるのも、固定資産管理に特化し、長年にわたり機能強化を続けてきたプロシップの技術とノウハウの蓄積があればこそだ。

 プロシップでは、ProPlusの提案活動の一環として、ProPlusによる“攻め”と“守り”の双方からの業務改善/改革をテーマとしたウェビナーも定期的に開催している。固定資産管理に悩みを抱えているのであれば、改善のヒントとしてぜひ一度参加してみてはいかがだろうか。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2021年1月15日