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» 2021年01月07日 15時35分 公開

ポストコロナの勝者は佐川かヤマトか 巣ごもり効果で業績好調の宅配業界磯山友幸の「滅びる企業 生き残る企業」(2/4 ページ)

[磯山友幸,ITmedia]

SGは採算重視 ヤマトはIT化

 SGは13年にアマゾンとの取引を解消、取扱量を増やす戦略から採算を重視する戦略に思い切って切り替えたわけだ。18年3月期にはヤマトの営業利益率は2.3%にまで低下、一方でSGの営業利益率は6%台に乗せた。

 結局、SG撤退の受け皿となったヤマトは、自社ドライバーだけでは回らなくなり、外部の物流業者に業務委託する羽目に陥った。それが大幅なコスト増に結びついたのだ。今、急ピッチで利益率の改善に取り組んでいる。ただし、手法が異なる。データを駆使するIT化で業務の効率化を進めようとしている。

phot 18年3月期にはヤマトの営業利益率は2.3%にまで低下、一方でSGの営業利益率は6%台に乗せた(SGホールディングスとヤマトホールディングスの経営数値の推移)

 その1つが不在時の再配達の削減に向けた「EAZY」の導入。利用客がスマホなどで不在時の配達場所などを指定できる仕組みで、玄関前やガスメーターボックスなどへの「置き配」も指定できる。もともとアマゾンが独自配送網で導入した「置き配」はトラブルも多く、当初不評だったが、新型コロナのまん延による非接触での受け取り希望が増えたことなどもあり、消費者に受け入れられつつある。不在による再配達の削減によって外部委託などが大幅に減少、上半期の決算でも委託費や傭車(ようしゃ)費と言った「下払経費」の伸びを、営業収入の伸び(5.3%増)を大きく下回る1.5%増で抑えることができた。

phot ヤマトは上半期の決算でも委託費や傭車(ようしゃ)費と言った「下払経費」の伸びを、営業収入の伸び(5.3%増)を大きく下回る1.5%増で抑えることができた(ヤマトグループの決算資料より)

 また、データ分析に基づいて、業務量などを予測し、人員や車などの経営資源を最適配置することを目指している。上半期でも「集配効率の向上や幹線輸送の効率化をグループ全体で推進し、人件費や委託費、傭車費の増加を抑制した」としている。また、ヤマトが手掛ける「メール便」などは、もともと郵便事業を手掛けてきた日本郵政への業務委託などで、採算の改善を目指す。インターネット・メールの普及によって郵便親書の扱い量が大きく減っていることもあり、収益性を確保することが難しくなっているためだ。21年3月期通期の売上高営業利益率は、4.1%にまで回復、7.8%を見込む佐川の背中を追いかける。

 新型コロナのまん延がなかなか終息しない中で、宅配事業へのニーズはさらに拡大している。宅配便だけでなく、「ウーバー・イーツ」などの飲食配送など新サービスも急速に広がっており、ヤマトやSGなど宅配業界もサービス多角化を狙う。

phot ヤマト運輸が取り組んでいる再配達の削減に向けた「EAZY」(同社のWebサイトより)

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