IT企業がシリコンバレーを含むサンフランシスコ湾岸地帯を離れるもう一つの理由は、「イデオロギー」的なものもある。シリコンバレーのリベラルすぎる空気に違和感をもつIT企業などがシリコンバレー周辺に見切りをつけている。
例えば、最近世界一の資産家になった米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)もその一人だ。カリフォルニア州はマスクにとってはいい場所ではなかった。労働組合にからんで労働関係法違反と認定されたり、新型コロナの脅威を否定して会社を最後まで閉じなかったことで当局とももめた。「新型コロナウイルスのパニックはバカだ」とツイートしたり、工場再開のタイミングについても当局にかみ付いたりしている。
そして結局、20年12月にはテキサス州に移住してしまった。テキサス州は州所得税もなく(カリフォルニア州は13.3%)、資本利得税もない。
マスク以外にも、PayPal(ペイパル)の共同創業者であるピーター・ティールも、少し前だが、イデオロギー的にシリコンバレー周辺には暮らせないとして引っ越した。彼がトランプ支持者だったことも、シリコンバレー周辺にいづらくなった理由だとの話も出ている。いまはロサンゼルスを拠点にしていると報じられている。
こうした脱出組は、テキサス州やフロリダ州、ワシントン州シアトル、ジョージア州アトランタといった土地に流れているという。
テキサスに移住した人たちといえば、例えば次のような有名人がいる。ビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズの共同設立者ジョー・ロンズデールや、ドロップボックスのドリュー・ハウストンCEOだ。テキサス以外では、オラクルの創業者ラリー・エリソンはハワイに移住、パランティアのCEOであるアレックス・カープはコロラド州デンバーに居を移している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング